書評

『短歌を楽しむ基礎知識』(KADOKAWA)

  • 2024/12/25
短歌を楽しむ基礎知識 / 上野 誠
短歌を楽しむ基礎知識
  • 著者:上野 誠
  • 出版社:KADOKAWA
  • 装丁:単行本(282ページ)
  • 発売日:2024-05-29
  • ISBN-10:4047037257
  • ISBN-13:978-4047037250
内容紹介:
近年、若い世代を中心に短歌ブームが起きている。結社や新聞歌壇にこだわらない歌人たちも増えてきた。創作や鑑賞に深い知識は必要ないかもしれない。しかし、これまでの短歌の歴史や表現技法… もっと読む
近年、若い世代を中心に短歌ブームが起きている。結社や新聞歌壇にこだわらない歌人たちも増えてきた。創作や鑑賞に深い知識は必要ないかもしれない。しかし、これまでの短歌の歴史や表現技法の変遷などを知れば、さらに楽しめるはずである。第一線の研究者と歌人が、万葉集の時代から、近代、現代のネット短歌まで、1400年の歩みを一気に振り返り、それぞれの時代でさまざまに姿を変えてきた短歌のありようを明らかにする。

目次
短歌が作者から読者に届くまで(歌を作る;歌を歌う;歌集を作る;歌を批評する)
近代空間のなかの短歌(ネット空間のなかの短歌;教科書のなかの短歌 ほか)
歴史のなかの短歌(近世社会のなかの短歌;中世社会のなかの短歌;古代社会のなかの短歌)
対談 さまざまな短歌―上野誠 小島ゆかり
短歌が空前のブームになっている。その原因の一つに情報技術の進歩が挙げられる。短歌といえば、かつては師を探し、歌詠みのコツを身に着け芸を磨くのが王道であった。近年、ネット空間は作品発信のハードルを一気に低くした。もはや上手下手を気にすることはない。歌を詠みたくなれば、誰でも三十一文字にすることがでる。不特定多数向けに発信された短歌は見知らぬ者に読まれ、あわよくばコメントや感想が返ってくることもある。顔が見えないゆえの気軽さもあって、技巧云々よりも、やさしい言葉で率直な感情表出に関心が向けられている。

このように、ひと昔前に比べて短歌をめぐる状況は大きく変容した。「伝統」にばかり目を向けるのではなく、現在の情報を伝えようとしたところに本書の斬新さがある。

ネット空間の事情はいうまでもなく、新聞や雑誌に投稿された短歌の変化、選歌の舞台裏、教科書に採用された短歌、結社の歩みと現状、歌会の進め方、歌集の出版など、およそ現代の短歌をめぐるあらゆる場面について詳細な紹介が行われている。短歌のことに興味がなくても面白く読める一冊だ。
短歌を楽しむ基礎知識 / 上野 誠
短歌を楽しむ基礎知識
  • 著者:上野 誠
  • 出版社:KADOKAWA
  • 装丁:単行本(282ページ)
  • 発売日:2024-05-29
  • ISBN-10:4047037257
  • ISBN-13:978-4047037250
内容紹介:
近年、若い世代を中心に短歌ブームが起きている。結社や新聞歌壇にこだわらない歌人たちも増えてきた。創作や鑑賞に深い知識は必要ないかもしれない。しかし、これまでの短歌の歴史や表現技法… もっと読む
近年、若い世代を中心に短歌ブームが起きている。結社や新聞歌壇にこだわらない歌人たちも増えてきた。創作や鑑賞に深い知識は必要ないかもしれない。しかし、これまでの短歌の歴史や表現技法の変遷などを知れば、さらに楽しめるはずである。第一線の研究者と歌人が、万葉集の時代から、近代、現代のネット短歌まで、1400年の歩みを一気に振り返り、それぞれの時代でさまざまに姿を変えてきた短歌のありようを明らかにする。

目次
短歌が作者から読者に届くまで(歌を作る;歌を歌う;歌集を作る;歌を批評する)
近代空間のなかの短歌(ネット空間のなかの短歌;教科書のなかの短歌 ほか)
歴史のなかの短歌(近世社会のなかの短歌;中世社会のなかの短歌;古代社会のなかの短歌)
対談 さまざまな短歌―上野誠 小島ゆかり

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2024年9月7日

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