書評

『論点・西洋史学』(ミネルヴァ書房)

  • 2025/02/18
論点・西洋史学 / 藤井 崇,青谷 秀紀,古谷 大輔,坂本 優一郎,小野沢 透
論点・西洋史学
  • 著者:藤井 崇,青谷 秀紀,古谷 大輔,坂本 優一郎,小野沢 透
  • 監修:金澤 周作
  • 出版社:ミネルヴァ書房
  • 装丁:単行本(340ページ)
  • 発売日:2020-04-13
  • ISBN-10:4623087794
  • ISBN-13:978-4623087792
内容紹介:
本書は、古代から現代に至る西洋の過去に関して、真実=正解を求めて幾通りもの主張が戦わされているポイント、すなわち「論点」だけを集めたテキストです。「論点」に触れ、主体的に思考する… もっと読む
本書は、古代から現代に至る西洋の過去に関して、真実=正解を求めて幾通りもの主張が戦わされているポイント、すなわち「論点」だけを集めたテキストです。「論点」に触れ、主体的に思考することで、歴史学ならではの醍醐味が味わえます。各項目は“史実”“論点”“歴史学的に考察するポイント”の3パートから構成され、語句説明やクロスリファレンスも充実。世界史の知識がなくとも理解が進む工夫が満載!

目次
1 西洋古代史の論点(ホメロスの社会;ポリス形成論 ほか)
2 西洋中世史の論点(中世初期国家論;カロリング・ルネサンス ほか)
3 西洋近世史の論点(世界システム論;世界分割(デマルカシオン) ほか)
4 西洋近代史の論点(フランス革命;イギリス産業革命 ほか)
5 西洋現代史の論点(帝国主義論;植民地と近代/西洋 ほか)
いかなる分野でも最前線に立つ人にしか見えない情景がある。通り一遍の情報ならネット検索で済んでしまいそうだが、本書を紐解けば、誰が書いたか分からないネット情報との落差が一目瞭然なのだ。

たとえば、「十字軍」の項目を開けば、上梓したばかりの大著『十字軍国家の研究』(名古屋大学出版会)の著者・櫻井康人が十字軍の多面性について整理する。また、「ボナパルティスム(第二帝政)」については、近著『ナポレオン四代』(中公新書)の著者・野村啓介が支配層としての名望家論に注目しながら、その問題点を整理する。さらに、「ファシズム論」をめぐっては、近著『日独伊三国同盟の起源』(講談社選書メチエ)の著者・石田憲が実証研究の深化のなかで、古典・修正主義の解釈を乗り越える試みの論点と難しさを整理する。

このように一三九の項目をとりあげ、第一線の研究者が執筆しているのだから、信頼度は比類ないのだ。しかも、見開き二頁のなかに要領よくまとめられているから、簡潔に要点を理解できる。学生・関連領域研究者ばかりか、歴史愛好家にも、必携!の一冊である。
論点・西洋史学 / 藤井 崇,青谷 秀紀,古谷 大輔,坂本 優一郎,小野沢 透
論点・西洋史学
  • 著者:藤井 崇,青谷 秀紀,古谷 大輔,坂本 優一郎,小野沢 透
  • 監修:金澤 周作
  • 出版社:ミネルヴァ書房
  • 装丁:単行本(340ページ)
  • 発売日:2020-04-13
  • ISBN-10:4623087794
  • ISBN-13:978-4623087792
内容紹介:
本書は、古代から現代に至る西洋の過去に関して、真実=正解を求めて幾通りもの主張が戦わされているポイント、すなわち「論点」だけを集めたテキストです。「論点」に触れ、主体的に思考する… もっと読む
本書は、古代から現代に至る西洋の過去に関して、真実=正解を求めて幾通りもの主張が戦わされているポイント、すなわち「論点」だけを集めたテキストです。「論点」に触れ、主体的に思考することで、歴史学ならではの醍醐味が味わえます。各項目は“史実”“論点”“歴史学的に考察するポイント”の3パートから構成され、語句説明やクロスリファレンスも充実。世界史の知識がなくとも理解が進む工夫が満載!

目次
1 西洋古代史の論点(ホメロスの社会;ポリス形成論 ほか)
2 西洋中世史の論点(中世初期国家論;カロリング・ルネサンス ほか)
3 西洋近世史の論点(世界システム論;世界分割(デマルカシオン) ほか)
4 西洋近代史の論点(フランス革命;イギリス産業革命 ほか)
5 西洋現代史の論点(帝国主義論;植民地と近代/西洋 ほか)

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2020年7月18日

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