書評

『ミッキーは谷中で六時三十分』(講談社)

  • 2026/08/13
ミッキーは谷中で六時三十分 / 片岡 義男
ミッキーは谷中で六時三十分
  • 著者:片岡 義男
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(259ページ)
  • 発売日:2014-05-21
  • ISBN-10:4062187442
  • ISBN-13:978-4062187442
内容紹介:
ミッキーは谷中で六時三十分 三人ゆかり高円寺 酔いざめの三軒茶屋 お隣のかたからです タリーズで座っていよう 吉祥寺ではコーヒーを飲まない 例外のほうが好き

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

不思議な空気とちょっとだけ意外な結末

片岡義男が旺盛に小説を発表するようになってから、何年くらいだろうか。昔、片岡の小説を読んでいた世代からすれば、カムバックは喜ばしい限りだ。最新作は、東京の街が舞台の短篇集。谷中、高円寺、三軒茶屋、経堂、下北沢、渋谷……。こうして並べると、人気のスポットと言えなくもない。

だがいまふうの街の様子とは、まるで関係のない登場人物たち。たとえば冒頭の「ミッキーは谷中で六時三十分」。主人公はフリーランスで雑誌に文章を書いているライター。彼はある喫茶店に入る。コーヒーを飲みたいのかと自問するが「さほどでもない」という答えを抱えながら、喫茶店のドアを押す。宙(ちゅう)ぶらりんの気持ち。

店主は主人公に「なにしてんのよ、仕事は。今日は平日なのに」と語りかける。「なにもしてません」と答えると、「ほんとに、なにもしてないの?」と店主は畳み掛ける。「これと言って」と主人公。「あれと言えば?」と店主が言い、会話が続く。

言葉遊びがある。それを特別視しない不思議な空気が流れている。そしてちょっとだけ意外な結末。堪能できる。
ミッキーは谷中で六時三十分 / 片岡 義男
ミッキーは谷中で六時三十分
  • 著者:片岡 義男
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(259ページ)
  • 発売日:2014-05-21
  • ISBN-10:4062187442
  • ISBN-13:978-4062187442
内容紹介:
ミッキーは谷中で六時三十分 三人ゆかり高円寺 酔いざめの三軒茶屋 お隣のかたからです タリーズで座っていよう 吉祥寺ではコーヒーを飲まない 例外のほうが好き

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2014年6月11日

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