解説

『ガリバー旅行記』(KADOKAWA/角川書店)

  • 2017/10/10
ガリバー旅行記  / ジョナサン・スウィフト
ガリバー旅行記
  • 著者:ジョナサン・スウィフト
  • 翻訳:山田 蘭
  • 出版社:KADOKAWA/角川書店
  • 装丁:文庫(461ページ)
  • 発売日:2011-03-25
  • ISBN-10:4042982182
  • ISBN-13:978-4042982180
内容紹介:
小人たちの国、巨人たちの国、空飛ぶ島の国、馬たちの国…イギリスに妻子を残し、懲りずに旅を続けたガリバー。彼が出会ったおとぎの国々を、誰もが一度は夢見たことがあるだろう。子供の心と想… もっと読む
小人たちの国、巨人たちの国、空飛ぶ島の国、馬たちの国…イギリスに妻子を残し、懲りずに旅を続けたガリバー。彼が出会ったおとぎの国々を、誰もが一度は夢見たことがあるだろう。子供の心と想像力で、スウィフトが描いたこの奇想天外、ユーモアあふれる冒険譚は、けれどとびきり鋭く辛辣に、人間と現実社会をみつめている。読むたび発見を新たにする、冒険旅行小説の歴史的名著。抜群に読みやすい新訳版。
マザーグースの昔から、アイリッシュ・ジョークは断腸の笑いとでもいうべき、残酷さとナンセンスを撒き散らして来た。ジョナサン・スウィフトの名前も、アイリッシュ・ジョークの底無しの恐ろしさとともに記憶されるべきである。妊娠中絶を禁じられているアイルランド人の子どもを食糧にすれば、食糧問題と人口問題は一気に解決する、と真顔で論じたスウィフトは、裁判官としても出世した。

ガリヴァーは巨人国、小人国、不死の国、果ては日本にまで旅をしているが、多くの読者はこれをファンタジーの元祖のように見なしてきた。子どもはスウィフトが仕掛けた風刺の爆弾には触れずに、ハリー・ポッターと同じように読んでしまうだろうが、読み方によってはこの旅行記は空想の産物などではなく、現実の寓意的表現と取れる。旅人はいつだって、自分の常識が通じない異国の風物、風習をグロテスクに捉える。大航海時代の記録は皆自分の目で見てきた事柄を記しているが、どうして内容は『ガリヴァー旅行記』に似ている?

【この解説が収録されている書籍】
必読書150 / 柄谷 行人,岡崎 乾二郎,島田 雅彦,渡部 直己,浅田 彰,奥泉 光,スガ 秀実
必読書150
  • 著者:柄谷 行人,岡崎 乾二郎,島田 雅彦,渡部 直己,浅田 彰,奥泉 光,スガ 秀実
  • 出版社:太田出版
  • 装丁:単行本(221ページ)
  • 発売日:2002-04-01
  • ISBN-10:4872336569
  • ISBN-13:978-4872336566
内容紹介:
現実に立ち向かう知性回復のために本当に必要なカノン(正典)を提出し、読まなくてもいい本を抑圧する、反時代的、強制的ブックガイド。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

ガリバー旅行記  / ジョナサン・スウィフト
ガリバー旅行記
  • 著者:ジョナサン・スウィフト
  • 翻訳:山田 蘭
  • 出版社:KADOKAWA/角川書店
  • 装丁:文庫(461ページ)
  • 発売日:2011-03-25
  • ISBN-10:4042982182
  • ISBN-13:978-4042982180
内容紹介:
小人たちの国、巨人たちの国、空飛ぶ島の国、馬たちの国…イギリスに妻子を残し、懲りずに旅を続けたガリバー。彼が出会ったおとぎの国々を、誰もが一度は夢見たことがあるだろう。子供の心と想… もっと読む
小人たちの国、巨人たちの国、空飛ぶ島の国、馬たちの国…イギリスに妻子を残し、懲りずに旅を続けたガリバー。彼が出会ったおとぎの国々を、誰もが一度は夢見たことがあるだろう。子供の心と想像力で、スウィフトが描いたこの奇想天外、ユーモアあふれる冒険譚は、けれどとびきり鋭く辛辣に、人間と現実社会をみつめている。読むたび発見を新たにする、冒険旅行小説の歴史的名著。抜群に読みやすい新訳版。

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