書評
『ダムダム』(早川書房)
こんなものを推薦した覚えはないのだ。大量のカーター・ブラウン・ミステリから代表作を選ぶとすれば、まあ『ブロンド』か『死体置場は花盛り』が妥当な線だろう。しかし、もののはずみでこれになってしまったのです。せいぜい気をつけてお読みください。アル・ウィーラー警部とポルニック部長刑事が殺人事件のあった屋敷に乗り込んでみると、身長ニメートルのブロンドの巨女とかクラゲのように体の曲がる女とか小人の老人とか奇っ怪な芸人の一団がいて、てんやわんやのドタバタ騒動に巻きこまれるお話。映画『怪物団』を想わせるゲテモノだが、カーター・ブラウン流の冗談小説の極致とも言える。「あれっ、この死体、死んでないのかな?」などという訳文がおかしいね。
【この書評が収録されている書籍】
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