書評
『環境音楽入悶』(白水社)
環境音楽、美術展と格闘技を縦横に批判したエッセー集。なかでも環境音楽については半分以上の紙幅が費やされている。著者は二十年来のコレクターと自称しているだけに、環境音楽の知識は半端ではない。音響効果という角度から数々の作品を品定めしているから、不眠を音楽で治そうとする人にとっては、実用性のある指南書である。
美術展を取り上げた第二部を美術批評と期待したら、肩透かしを食うだろう。展示された作品よりも、空間としての美術館、オブジェとしての見学者の方に批評のまなざしが向けられているからだ。
音楽環境論、美術環境論と同じように、格闘技を取り上げたエッセー群は身体美の環境論である、と早合点する筆者の詮索はそもそも無意味なのかもしれない。著者の小説を読んだことのある方なら、誰しもその独特の修辞法を知っているはずだ。本書でもその饒舌ぶりは遺憾なく発揮されている。書名はむろん誤植ではない。そのパラノイア的なレトリックを詳しく知りたい方はぜひ本文をご一読ください。
【この書評が収録されている書籍】
美術展を取り上げた第二部を美術批評と期待したら、肩透かしを食うだろう。展示された作品よりも、空間としての美術館、オブジェとしての見学者の方に批評のまなざしが向けられているからだ。
音楽環境論、美術環境論と同じように、格闘技を取り上げたエッセー群は身体美の環境論である、と早合点する筆者の詮索はそもそも無意味なのかもしれない。著者の小説を読んだことのある方なら、誰しもその独特の修辞法を知っているはずだ。本書でもその饒舌ぶりは遺憾なく発揮されている。書名はむろん誤植ではない。そのパラノイア的なレトリックを詳しく知りたい方はぜひ本文をご一読ください。
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