少年ジャンプ、半世紀 キャラ進化、人気引っ張る
『週刊少年ジャンプ』が来年で創刊50周年。大規模な広告キャンペーンが話題を呼び、創刊号と最大部数653万部を記録した1995年新年3・4合併号も復刻された。だが現在の部数は200万部を割る。数字だけ見れば黄金時代は去り、過去の栄光を振り返るものに見える。
最高部数を記録した当時の編集長堀江信彦は、部数減の始まりも目の当たりにした。「数字の“頭打ち”は予感していました。むしろ漫画は次に向かうべきだと思っていた」
漫画は紙で完結するものではない。堀江はそう考える。「手塚治虫は、絵を動かすためにアニメーションに行った。そもそも彼は映画が好きで描き始めています。漫画は漫画で終わりません」
ジャンプの部数が落ち始めた90年代半ばは、同時に、メディアミックスの在り方が変化した時代。「ROOKIES 卒業」「るろうに剣心 京都大火編」「デスノート the Last name」。これらはジャンプからの実写映画化作品で興行収入50億円以上のヒットを記録。だが公開は、ジャンプ黄金期の後に当たっている。紙の雑誌だけ見ると部数減は事実だが漫画というメディアが持つ影響力はむしろ大きくなっている。そして物語を発掘する出版社の役割も残されている。「NARUTO」のハリウッド実写化もこれからだ。
ジャンプが勝ち続ける理由はどこにあるのだろう。「友情・努力・勝利」という普遍のテーマの強さなのか? 元編集者で、大ヒット漫画編集者のインタビュー集の著作もある堀田純司は「進化」の部分に目を付ける。
「かつての女性キャラクターは、主人公を応援する立場でしたけど今は一緒に切磋琢磨(せっさたくま)する存在に変化しました。『シューダン!』というサッカー漫画がそれをうまく描いてます。こうした女性キャラの変化は『NARUTO』辺りに見てとれます。少年誌の中でジャンプが率先して始めた」
ジャンプの黄金時代はいつだったのか? それは過去の話ではなく、未来に訪れるものなのかもしれない。