書評

『原っぱと遊園地―建築にとってその場の質とは何か』(王国社)

  • 2017/11/23
原っぱと遊園地―建築にとってその場の質とは何か / 青木 淳
原っぱと遊園地―建築にとってその場の質とは何か
  • 著者:青木 淳
  • 出版社:王国社
  • 装丁:単行本(237ページ)
  • 発売日:2004-10-01
  • ISBN-10:4860730259
  • ISBN-13:978-4860730253
内容紹介:
あらかじめそこで行われることがわかっている建築(遊園地)から、そこで行われることでその中身がつくられていく建築(原っぱ)へ。潟博物館、ルイ・ヴィトン表参道、青森県立美術館、並びにH、Sなど一連の住宅で、今最も注目されている著者の初めての建築論集。
『原っぱと遊園地』とはまたおっとりした書名である。が、これは対立する二つの建築理念の比喩(ひゆ)なのだ。

「原っぱ」とは、そこで行われることが空間の中身を作っていく建築のこと。他方、「遊園地」とは「あらかじめそこで行われることがわかっている建築」をさす。「ルイ・ヴィトン表参道」の建築家でもある青木は、「原っぱ」の典型を、同じ表参道にあって、すでに取り壊された同潤会アパートに見る。もともと住居だったはずが、ギャラリーやブティックとして使われなおした建築だ。

原っぱでは、ともかくそこへ行ってそれから何をして遊ぶか決める。特定の行為のための空間ではなく、行為と行為をつなぐものそれ自体をデザインしようというのが、青木の建築だ。そこから、文化とは、人と空間との関係が、当初の機能以上に成熟し、その関係から新たな機能が育まれていく過程のことだという文化論が導きだされる。
原っぱと遊園地―建築にとってその場の質とは何か / 青木 淳
原っぱと遊園地―建築にとってその場の質とは何か
  • 著者:青木 淳
  • 出版社:王国社
  • 装丁:単行本(237ページ)
  • 発売日:2004-10-01
  • ISBN-10:4860730259
  • ISBN-13:978-4860730253
内容紹介:
あらかじめそこで行われることがわかっている建築(遊園地)から、そこで行われることでその中身がつくられていく建築(原っぱ)へ。潟博物館、ルイ・ヴィトン表参道、青森県立美術館、並びにH、Sなど一連の住宅で、今最も注目されている著者の初めての建築論集。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2005年1月9日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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