書評
『原っぱと遊園地―建築にとってその場の質とは何か』(王国社)
『原っぱと遊園地』とはまたおっとりした書名である。が、これは対立する二つの建築理念の比喩(ひゆ)なのだ。
「原っぱ」とは、そこで行われることが空間の中身を作っていく建築のこと。他方、「遊園地」とは「あらかじめそこで行われることがわかっている建築」をさす。「ルイ・ヴィトン表参道」の建築家でもある青木は、「原っぱ」の典型を、同じ表参道にあって、すでに取り壊された同潤会アパートに見る。もともと住居だったはずが、ギャラリーやブティックとして使われなおした建築だ。
原っぱでは、ともかくそこへ行ってそれから何をして遊ぶか決める。特定の行為のための空間ではなく、行為と行為をつなぐものそれ自体をデザインしようというのが、青木の建築だ。そこから、文化とは、人と空間との関係が、当初の機能以上に成熟し、その関係から新たな機能が育まれていく過程のことだという文化論が導きだされる。
「原っぱ」とは、そこで行われることが空間の中身を作っていく建築のこと。他方、「遊園地」とは「あらかじめそこで行われることがわかっている建築」をさす。「ルイ・ヴィトン表参道」の建築家でもある青木は、「原っぱ」の典型を、同じ表参道にあって、すでに取り壊された同潤会アパートに見る。もともと住居だったはずが、ギャラリーやブティックとして使われなおした建築だ。
原っぱでは、ともかくそこへ行ってそれから何をして遊ぶか決める。特定の行為のための空間ではなく、行為と行為をつなぐものそれ自体をデザインしようというのが、青木の建築だ。そこから、文化とは、人と空間との関係が、当初の機能以上に成熟し、その関係から新たな機能が育まれていく過程のことだという文化論が導きだされる。
朝日新聞 2005年1月9日
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