書評
『中国文章家列伝』(岩波書店)
漢から清にいたるまで、詩人、小説家や戯曲家など十人の生涯を描く。去勢の刑罰を受けた司馬遷、纏足の靴で酒を飲み交わす楊維楨、赤貧のなかで『儒林外史』を書き上げた呉敬梓。個性豊かというより、強烈な性格の持ち主ばかりである。
文章家という用語は近代的なジャンル分類と異なる方法を示唆するが、一方、文字通り後世に伝わる名作を著した人たち、との意味もある。ただ、文章の出来映えだけでなく、作者の波乱に富んだ人生が創作活動にいかに投影されたかがより強く注目されている。「滕王閣序」を書いた王勃、則天武后を指弾する檄文で名声を轟かせた駱賓王、古文を再生させた韓愈や柳宗元などの名文家があえて割愛されたのはそのためであろう。
創作活動を追っていくと、「文章」の背後に隠されたはげしい権力争いが見えてくる。隠遁も放蕩も突き詰めれば、現実を逃避する保身行為に過ぎない。過酷な政治闘争とのかかわりを運命づけられた文人たちの悲劇は、今日読んでも切ない。
文章家という用語は近代的なジャンル分類と異なる方法を示唆するが、一方、文字通り後世に伝わる名作を著した人たち、との意味もある。ただ、文章の出来映えだけでなく、作者の波乱に富んだ人生が創作活動にいかに投影されたかがより強く注目されている。「滕王閣序」を書いた王勃、則天武后を指弾する檄文で名声を轟かせた駱賓王、古文を再生させた韓愈や柳宗元などの名文家があえて割愛されたのはそのためであろう。
創作活動を追っていくと、「文章」の背後に隠されたはげしい権力争いが見えてくる。隠遁も放蕩も突き詰めれば、現実を逃避する保身行為に過ぎない。過酷な政治闘争とのかかわりを運命づけられた文人たちの悲劇は、今日読んでも切ない。
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