書評

『ピアノを尋ねて』(新潮社)

  • 2024/11/15
ピアノを尋ねて / クオ・チャンシェン
ピアノを尋ねて
  • 著者:クオ・チャンシェン
  • 翻訳:倉本 知明
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(176ページ)
  • 発売日:2024-08-29
  • ISBN-10:4105901966
  • ISBN-13:978-4105901967
内容紹介:
天賦の才能をもちながらピアニストの夢破れた調律師の「わたし」は、若い妻を喪った初老の男性、林サンと出逢う。亡妻の残したピアノをめぐって二人の運命は絡み合い、やがて中古ピアノの販売… もっと読む
天賦の才能をもちながらピアニストの夢破れた調律師の「わたし」は、若い妻を喪った初老の男性、林サンと出逢う。亡妻の残したピアノをめぐって二人の運命は絡み合い、やがて中古ピアノの販売事業を手掛けるため、運命の地ニューヨークへたどり着く…。シューベルト、ラフマニノフ、リヒテルやグールドといったクラシック音楽の巨匠たちが抱えた孤独が綴られた本作は「聴覚小説」と評され、台湾文学金典奨をはじめ主要な文学賞を総なめにしたベストセラー。
台湾の現代小説。「わたし」は幼いころ天才音楽家と呼ばれていたが、ピアニストへの夢は破れ、いまは調律師をしている。わたしは「林(リン)サン」と日本語で呼ばれる実業家と出会う。林サンは3カ月前に妻のエミリーを癌で亡くしたばかり。エミリーが経営する音楽教室のピアノを調律していたのがわたしだった。わたしと林サンの交遊が始まり、やがて共同でビジネスをするため2人はニューヨークに向かうのだが……。

ピアニストになれなかった中年男、20歳年下の妻と出会って音楽への関心を持つようになった初老の男、そして老いる前に死んでしまった音楽家の女性。3人の男女の老いと人生と音楽が語られる。要所要所に音楽が出てくる。ラフマニノフの「ヴォカリーズ」(のピアノ版)、リヒテルが弾くシューベルトの「ピアノソナタ18番」、グレン・グールドのバッハ「ゴルトベルク変奏曲」。ドビュッシーの「アラベスク」やリストの「ため息」も。ぼくはそのつど曲を聴きながら読んだ。巨匠たちの人生も重なって小説が立体的になる。音楽も人生も偶然が左右する。
ピアノを尋ねて / クオ・チャンシェン
ピアノを尋ねて
  • 著者:クオ・チャンシェン
  • 翻訳:倉本 知明
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(176ページ)
  • 発売日:2024-08-29
  • ISBN-10:4105901966
  • ISBN-13:978-4105901967
内容紹介:
天賦の才能をもちながらピアニストの夢破れた調律師の「わたし」は、若い妻を喪った初老の男性、林サンと出逢う。亡妻の残したピアノをめぐって二人の運命は絡み合い、やがて中古ピアノの販売… もっと読む
天賦の才能をもちながらピアニストの夢破れた調律師の「わたし」は、若い妻を喪った初老の男性、林サンと出逢う。亡妻の残したピアノをめぐって二人の運命は絡み合い、やがて中古ピアノの販売事業を手掛けるため、運命の地ニューヨークへたどり着く…。シューベルト、ラフマニノフ、リヒテルやグールドといったクラシック音楽の巨匠たちが抱えた孤独が綴られた本作は「聴覚小説」と評され、台湾文学金典奨をはじめ主要な文学賞を総なめにしたベストセラー。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2024年9月21日

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