書評

『脱フリーター社会―大人たちにできること』(東洋経済新報社)

  • 2017/09/26
脱フリーター社会―大人たちにできること / 橘木 俊詔
脱フリーター社会―大人たちにできること
  • 著者:橘木 俊詔
  • 出版社:東洋経済新報社
  • 装丁:単行本(203ページ)
  • ISBN-10:4492222561
  • ISBN-13:978-4492222560
内容紹介:
現在、若年の失業率は高く、フリーターも年々増加しており、日本の若者を取り巻く環境は厳しくなっている。このままではフリーター自身にとっても、社会全体にとっても、発展は望めない。これ… もっと読む
現在、若年の失業率は高く、フリーターも年々増加しており、日本の若者を取り巻く環境は厳しくなっている。このままではフリーター自身にとっても、社会全体にとっても、発展は望めない。これらの責任の多くを若者に帰する意見があるが、本書の基本的立場は、若者だけではなく社会全体に責任があるというものである。第1部では経済学者の眼から、第2部では若者の眼からと、二つの眼から分析し、若者の失業とフリーター問題について政策提言を行っている。
「15歳から34歳の若者のうち、パート・アルバイトおよび働く意志のある無職の人(学生・主婦は除く)」であるフリーターは、厚生労働省によれば209万人、予備軍も入れると400万人を超える。正社員ではないため未熟練のまま放置され、年収も多くは時給が最低賃金を割る低賃金ゆえに100万円に満たず、結婚もままならぬ状況にある。

フリーターには、現代日本が直面する難問が凝縮しているかのようだ。不況下で新規雇用を減らす形で雇用調整を行う企業の酷薄さや、やりがいある職を求め短期間で離職してしまう若者の身勝手さが産み落としたかに思えるからだ。

だがこうした見方には偏見が含まれているらしい。労働と家計の経済学の泰斗がゼミ学生の意見を配しつつ分析・提言する本書によれば、その多くは正社員になろうとする意欲を持ち、しかし高齢者と働き口をめぐり競合しているという。フリーターをめぐる問題の本質に迫る快著である。
脱フリーター社会―大人たちにできること / 橘木 俊詔
脱フリーター社会―大人たちにできること
  • 著者:橘木 俊詔
  • 出版社:東洋経済新報社
  • 装丁:単行本(203ページ)
  • ISBN-10:4492222561
  • ISBN-13:978-4492222560
内容紹介:
現在、若年の失業率は高く、フリーターも年々増加しており、日本の若者を取り巻く環境は厳しくなっている。このままではフリーター自身にとっても、社会全体にとっても、発展は望めない。これ… もっと読む
現在、若年の失業率は高く、フリーターも年々増加しており、日本の若者を取り巻く環境は厳しくなっている。このままではフリーター自身にとっても、社会全体にとっても、発展は望めない。これらの責任の多くを若者に帰する意見があるが、本書の基本的立場は、若者だけではなく社会全体に責任があるというものである。第1部では経済学者の眼から、第2部では若者の眼からと、二つの眼から分析し、若者の失業とフリーター問題について政策提言を行っている。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2005年2月13日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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