書評

『ドラえもん』(小学館)

  • 2019/11/13
ドラえもん / 藤子・F・不二雄
ドラえもん
  • 著者:藤子・F・不二雄
  • 出版社:小学館
  • 装丁:コミック(190ページ)
  • 発売日:1974-07-31
  • ISBN:4091400019
内容紹介:
●日本を代表する漫画家藤子・F・不二雄先生の傑作作品『ドラえもん』。未来の国からやってきたごぞんじ、ネコ型ロボットのドラえもんが親友のび太とともにくりひろげる友情ファンタジー。四次元ポケットから取りだされる不思議な道具で日本じゅうを笑いに包みこむ。しずちゃんやスネ夫、それにジャイア… もっと読む
●日本を代表する漫画家藤子・F・不二雄先生の傑作作品『ドラえもん』。未来の国からやってきたごぞんじ、ネコ型ロボットのドラえもんが親友のび太とともにくりひろげる友情ファンタジー。四次元ポケットから取りだされる不思議な道具で日本じゅうを笑いに包みこむ。しずちゃんやスネ夫、それにジャイアンも元気いっぱい。大きな夢をあたえてくれるワクワクドキドキ素敵な道具でキミを心温まるドラえもんワールドにご案内。
▼第1話/未来の国からはるばると▼第2話/ドラえもんの大予言▼第3話/変身ビスケット▼第4話/秘(丸囲み)スパイ大作戦▼第5話/コベアベ▼第6話/古道具きょう争▼第7話/ペコペコバッタ▼第8話/ご先祖さまがんばれ▼第9話/かげがり▼第10話おせじ口べに▼第11話/一生に一度は百点を▼第12話/プロポーズ大作戦▼第13話/◯◯が××と△△する▼第14話/雪でアッチッチ▼第15話/ランプのけむりオバケ▼第16話/走れ! ウマタケ

ドラえもんの魅力

お風呂に入っていると、急に息子が言った。「おぼれ大会っていうのがあったら、のび太も一番になれるのにね……」。『ドラえもん』の主人公のび太のことを、息子は何かと気にかけていて、よくこういう発言をする。

「オンチ大会なら、ジャイアンが優勝だね」と私も提案してみるが、これはすぐに却下。

「だめだよー、ジャイアンは自分がオンチって知らないんだから。レコーダーに録音して、じーんってしてるんだよ。おかあさん、オンチなんて言ったら、ぼこぼこにされて首しめられるよ!」

物語に没頭し、登場人物に感情移入するという初めての経験を、ドラえもんは持ってきてくれた。『ドラえもん』を読んでいるあいだは、その世界の住人になりきっている。読み終わったあとでも、作中に出てくる鏡の世界に入ろうとして、洗面所の鏡に頭をぶつけたりしている。

そして、泳げないのび太のことを思って、「おぼれ大会」なんていうのを考えてしまうほど、息子はのび太贔屓(びいき)だ。

主人公が、なんでもできるスーパーマンではなく、この「のび太」だからいいのだろうな、と思う。助けてくれるドラえもんとて、決してデキのいいロボットではないという設定だ。だから子どもは、親しみを感じるし、一緒になってハラハラもするし、うまくいけば喜びもひとしお、ということになるのだろう。

が、実はちょっと心配な面もあった。こんなにのび太に肩入れしてしまっては、「勉強は、つまらない」「テストは、むずかしい」「宿題は、イヤイヤやるもの」という発想が、刷り込まれてしまうのではないだろうか。学校に行く前から、そんな先入観を持ってしまっては、子どもにとってマイナスなのではないだろうか、と(少数派かもしれないが、私自身は、ものすごく勉強が好きな子どもだった)。

しかし、それも杞憂に終わりそうだ。

「のび太は勉強のとき、どうしても、なまけごころが出るんだ。でも一年に二、三回反省して、ひとみが輝くんだよ!」なんてことを嬉しそうに言っている。反面教師と言っては言い過ぎだが、子ども心に、なまけるのはよくないということが、そしてそれを克服するのはエラいということが、わかっているようだ。そのあたりの伝え方が、『ドラえもん』は実にうまいと思う。

また、こんなこともあった。明日、ポケモンのカードを、幼稚園のお友だちと見せっこするという。実は息子は、私の知人のご子息から、かなりの数のカードを譲り受けた(彼はもうポケモンを卒業し、次なるカードゲームに夢中らしい)。おそらく持っている数やカードの豪華さは、息子が一番だろう。少し心配だ。

「たくみんがたくさん持っているのは、しゅんすけお兄ちゃんの大事なカードをいただいたからだよ。お友だちのカードが少なくても、少ないなあっていったり、いばったりしないでね」。私が言うと、こんな答えが返ってきた。

「わかってる。それは、いつもスネ夫がやってることだから」

カードの見せっこは、楽しくできたようだ。

【この書評が収録されている書籍】
かーかん、はあい 子どもと本と私  / 俵万智
かーかん、はあい 子どもと本と私
  • 著者:俵万智
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:文庫(224ページ)
  • 発売日:2012-05-08
  • ISBN:4022646667

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

ドラえもん / 藤子・F・不二雄
ドラえもん
  • 著者:藤子・F・不二雄
  • 出版社:小学館
  • 装丁:コミック(190ページ)
  • 発売日:1974-07-31
  • ISBN:4091400019
内容紹介:
●日本を代表する漫画家藤子・F・不二雄先生の傑作作品『ドラえもん』。未来の国からやってきたごぞんじ、ネコ型ロボットのドラえもんが親友のび太とともにくりひろげる友情ファンタジー。四次元ポケットから取りだされる不思議な道具で日本じゅうを笑いに包みこむ。しずちゃんやスネ夫、それにジャイア… もっと読む
●日本を代表する漫画家藤子・F・不二雄先生の傑作作品『ドラえもん』。未来の国からやってきたごぞんじ、ネコ型ロボットのドラえもんが親友のび太とともにくりひろげる友情ファンタジー。四次元ポケットから取りだされる不思議な道具で日本じゅうを笑いに包みこむ。しずちゃんやスネ夫、それにジャイアンも元気いっぱい。大きな夢をあたえてくれるワクワクドキドキ素敵な道具でキミを心温まるドラえもんワールドにご案内。
▼第1話/未来の国からはるばると▼第2話/ドラえもんの大予言▼第3話/変身ビスケット▼第4話/秘(丸囲み)スパイ大作戦▼第5話/コベアベ▼第6話/古道具きょう争▼第7話/ペコペコバッタ▼第8話/ご先祖さまがんばれ▼第9話/かげがり▼第10話おせじ口べに▼第11話/一生に一度は百点を▼第12話/プロポーズ大作戦▼第13話/◯◯が××と△△する▼第14話/雪でアッチッチ▼第15話/ランプのけむりオバケ▼第16話/走れ! ウマタケ

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

本の窓

本の窓 2008年頃

豪華執筆陣による、エッセイ、小説、ノンフィクションや対談などの読み物連載に加え、読書案内、小学館の新刊情報も満載。小さな雑誌で驚くほど充実した内容。あなたの好奇心を存分に刺激すること間違いなし。定期購読は1年(10冊)で1000円(税込、送料込)

関連記事
俵 万智の書評/解説/選評
ページトップへ