書評

『どうぞのいす』(ひさかたチャイルド)

  • 2020/01/22
どうぞのいす / 香山 美子
どうぞのいす
  • 著者:香山 美子
  • 出版社:ひさかたチャイルド
  • 装丁:単行本(32ページ)
  • 発売日:1981-11-01
  • ISBN-10:489325250X
  • ISBN-13:978-4893252500
内容紹介:
“優しい心づかい"と“かわいい勘違い"で心温まるストーリーはじまりはウサギさんの心づかいとロバさんの勘違いでした。ウサギさんの作った「どうぞのいす」はやがて優しい心の連鎖を生みます。いすを巡って“クマさん・キツネさん・リス"さんが優しさリレーを繰り広げるストーリ… もっと読む
“優しい心づかい"と“かわいい勘違い"で心温まるストーリー


はじまりはウサギさんの心づかいとロバさんの勘違いでした。

ウサギさんの作った「どうぞのいす」はやがて優しい心の連鎖を生みます。

いすを巡って“クマさん・キツネさん・リス"さんが優しさリレーを繰り広げるストーリー。

ロバさんが最後まで勘違いしているオチにほっこりさせられます。


<優しい言葉・心地いい言葉のオンパレード
「どうぞ」は“やさしい心"の合言葉です。心地いい言葉使いもこの絵本の魅力です。
「なんて しんせつな いす だろう」
「つかれて いたから いいきもち」
「どうぞと いうなら えんりょなく」
「つぎの ひとに おきのどく」


<色々とぴったりの絵本><;/b><; BR><; BR>
セリフよりも語りが多く、リズミカルなテンポで読み聞かせることが出来ます。

ストーリも簡単でありながら巧みに作られています。
そのストーリーの完成度は演劇で広く使用されるほど。

内容もプレゼントにぴったりで「どうぞ」という言葉が物語っています。

長年色あせることのないデザインと物語で30年以上愛されてきました。
(ありがとう100万部)

対象年齢は3・4歳ですが、それ以前でも早すぎるということはありません。


ぜひ、「どうぞのいす」のおはなし・ことば・イラストをお楽しみください。

絵本の時間はおかあさんと

単行本の一巻目として、この連載「かーかん、はあい」の二年分をまとめた本のあとがきに、私はこんなことを書いた。

いつか子どもは、自分で本を読み始める。そうなったらもう、「親子で一緒に本を読む時間」はなくなってしまう。親であることの楽しみは、いつも期間限定だ。

たぶん、長い目で見れば、その通りなのだろう。が、私はもう少し短い目(?)で見て、そう書いていた。つまり「自分で読めるようになる=親とは読まなくなる」というように。

息子はもう、子ども向きの本なら、童話でも漫画でも、すっかり自分の力で読めるようになった。けれど、「それとこれとは別」という顔をして、絵本を持ってくる。小さいころからの習慣で「絵本は、おかあさんと一緒に読むもの」と思っているらしい。

甘えたい、という気持ちも、ややあるようだ。そういう気分が強いときほど、幼いころに読んでいた絵本を持ち出してくる。とはいえ、それなりに人生経験を積んだ息子。感想が、以前とは違うのがおもしろい(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2009年)。

たとえば先日、『どうぞのいす』を久しぶりに読んだ。うさぎさんが椅子をつくり「どうぞのいす」という立て札とともに木の下に置いておく。「疲れたら、どなたでもどうぞ」という気持ちなのだろうが、ろばさんは、どんぐりのいっぱい入ったカゴを、そのいすに置いて昼寝を始めてしまった。

どんぐりのカゴが置いてあって「どうぞ」とあれば、誰でも勘違いするだろう。通りかかったくまさんは喜んで、どんぐりを全部食べてしまう。悪気はないけれど、大変なことだ。子どもは「えっ、大丈夫かな?」という顔をする。

だが、ここからが、いいところ。くまさんは、あとで通りかかる誰かのために、ハチミツを置いていくのだ。

ハチミツをなめたきつねさんが、今度はパンを置いていき、パンを食べたりすさんが栗を……。自分が受けた親切を、次の誰かへと思いやる心。バトンを渡すように、めぐってゆく善意。読んでいると大人の心も洗われる、まことにいい話である。

この話が大好きだった息子だが、今回は、こんなことを言う。

「ねえねえ、くまさんがハチミツ置いていかなかったら、どうなるかなあ」

「えっ、どうなったと思う?」

「うーん、次に来た人が、カゴを持ってっちゃって、その次の人が椅子を持ってっちゃって、最後は誰かが立て札を持っていくかも!」

おそろしい負の連鎖だ。そういえば『ねずみのよめいり』を久しぶりに読んだときも「ねずみより強いのは猫さんだよね。それで、猫さんのところへお願いにいったら、みんな食べられちゃうっていうのは、どう?」と、ヘンな結末をつけていた。

世の中、善意ばかりではないということを、知りはじめる年頃なのかもしれない。

  知らぬまに脱皮する子か上履きのサイズ大きくなるたび思う

【この書評が収録されている書籍】
かーかん、はあい 子どもと本と私 / 俵万智
かーかん、はあい 子どもと本と私
  • 著者:俵万智
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:文庫(224ページ)
  • 発売日:2012-05-08
  • ISBN-10:4022646667
  • ISBN-13:978-4022646668
内容紹介:
6歳になった今も、息子は絵本を持って母のもとへやってくる――。子育てをする歌人が、子どものために選び、自身も心を揺り動かされた絵本48冊を紹介したエッセイ。母親世代にも懐かしい不朽の名作から、図鑑、ことば遊び、シュールなものまで、幅広く選んでいる。成長に応じた絵本探しの参考として、また母と子のあたたかな交流を描いた本として楽しい一冊。単行本全2巻を1冊にまとめて文庫化。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

どうぞのいす / 香山 美子
どうぞのいす
  • 著者:香山 美子
  • 出版社:ひさかたチャイルド
  • 装丁:単行本(32ページ)
  • 発売日:1981-11-01
  • ISBN-10:489325250X
  • ISBN-13:978-4893252500
内容紹介:
“優しい心づかい"と“かわいい勘違い"で心温まるストーリーはじまりはウサギさんの心づかいとロバさんの勘違いでした。ウサギさんの作った「どうぞのいす」はやがて優しい心の連鎖を生みます。いすを巡って“クマさん・キツネさん・リス"さんが優しさリレーを繰り広げるストーリ… もっと読む
“優しい心づかい"と“かわいい勘違い"で心温まるストーリー


はじまりはウサギさんの心づかいとロバさんの勘違いでした。

ウサギさんの作った「どうぞのいす」はやがて優しい心の連鎖を生みます。

いすを巡って“クマさん・キツネさん・リス"さんが優しさリレーを繰り広げるストーリー。

ロバさんが最後まで勘違いしているオチにほっこりさせられます。


<優しい言葉・心地いい言葉のオンパレード
「どうぞ」は“やさしい心"の合言葉です。心地いい言葉使いもこの絵本の魅力です。
「なんて しんせつな いす だろう」
「つかれて いたから いいきもち」
「どうぞと いうなら えんりょなく」
「つぎの ひとに おきのどく」


<色々とぴったりの絵本><;/b><; BR><; BR>
セリフよりも語りが多く、リズミカルなテンポで読み聞かせることが出来ます。

ストーリも簡単でありながら巧みに作られています。
そのストーリーの完成度は演劇で広く使用されるほど。

内容もプレゼントにぴったりで「どうぞ」という言葉が物語っています。

長年色あせることのないデザインと物語で30年以上愛されてきました。
(ありがとう100万部)

対象年齢は3・4歳ですが、それ以前でも早すぎるということはありません。


ぜひ、「どうぞのいす」のおはなし・ことば・イラストをお楽しみください。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2009年08月26日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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