書評

『スコープ少年の不思議な旅』(風濤社)

  • 2021/11/14
スコープ少年の不思議な旅 / 巖谷 國士
スコープ少年の不思議な旅
  • 著者:巖谷 國士
  • 出版社:風濤社
  • 装丁:単行本(112ページ)
  • 発売日:2013-11-01
  • ISBN-10:4892193747
  • ISBN-13:978-4892193743
内容紹介:
スコープ少年とは誰だろう?掌に載る大きさの金属の箱覗き込んでみると、そこには驚異の部屋が――桑原のスコープ作品に惚れ込んだ巖谷國士が、作品からインスパイアされ幻想旅行譚をつむぐ、… もっと読む
スコープ少年とは誰だろう?
掌に載る大きさの金属の箱
覗き込んでみると、そこには驚異の部屋が――

桑原のスコープ作品に惚れ込んだ巖谷國士が、作品からインスパイアされ幻想旅行譚をつむぐ、
しあわせな、極上のコラボレーション!
CDよりひとまわり大きな、オブジェのような本。プレゼントに最適!

「なんと不思議な装置だろう!
光の角度と方向によっておなじ空間がさまざまに変化し、そのたびに驚異をよびおこす。
閉ざされていたはずの扉が開いたり、存在しないはずの人影がうつったり。
これは魔術ではないのか――」(巖谷國士)

★ファン待望の復刊! 貴重な設計図、新版によせた巖谷國士「窓からの眺め」を16頁増補。
掌の中におさまるくらいの真鍮製の小さな箱のオブジェがあって、そこに取りつけられたアイピースで中を覗き込むと嘘みたいに本物そっくりの部屋が出現する。

写真に見るように、まるで現実のようだ。もちろん箱の中に「写真」を貼りつけてある、というようなチャチなものではない。椅子も机も、時計も双眼鏡も、パイプも燭台も爪の上に乗るくらい極小に精緻に作られて、そこに置かれてあるのだという。

こんな作品に出会ってしまったら、巖谷國士(いわやくにお)さんが「少年の幻想旅行譚」を書き下ろし、写真とともに一冊の本にしたくなるのもうなずける。

そして、まさに一冊の本として、この本はこのオブジェで体験できたその世界に拮抗する不思議さ、懐かしさを獲得したと思う。(しかし、それにしても私は、実際にこれを覗いてみたい)

双眼鏡を逆さに目にあてて遠ざかった日常を目にした時のあの奇妙さ、壺の中にもうひとつの宇宙があるという話の不思議な説得力。

桑原弘明氏の装置の素晴らしさはアイデアやコンセプトではない。本物そっくりの、ありもしない世界を作り出すその技術の情熱と、視覚の情熱である。どうしても見たいから作れた作品だと思う。

【旧版:パロル舎】
スコープ少年の不思議な旅 / 國士, 巖谷
スコープ少年の不思議な旅
  • 著者:國士, 巖谷
  • 出版社:パロル舎
  • 装丁:単行本(0ページ)
  • 発売日:2005-11-01
  • ISBN-10:4894190486
  • ISBN-13:978-4894190481

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

スコープ少年の不思議な旅 / 巖谷 國士
スコープ少年の不思議な旅
  • 著者:巖谷 國士
  • 出版社:風濤社
  • 装丁:単行本(112ページ)
  • 発売日:2013-11-01
  • ISBN-10:4892193747
  • ISBN-13:978-4892193743
内容紹介:
スコープ少年とは誰だろう?掌に載る大きさの金属の箱覗き込んでみると、そこには驚異の部屋が――桑原のスコープ作品に惚れ込んだ巖谷國士が、作品からインスパイアされ幻想旅行譚をつむぐ、… もっと読む
スコープ少年とは誰だろう?
掌に載る大きさの金属の箱
覗き込んでみると、そこには驚異の部屋が――

桑原のスコープ作品に惚れ込んだ巖谷國士が、作品からインスパイアされ幻想旅行譚をつむぐ、
しあわせな、極上のコラボレーション!
CDよりひとまわり大きな、オブジェのような本。プレゼントに最適!

「なんと不思議な装置だろう!
光の角度と方向によっておなじ空間がさまざまに変化し、そのたびに驚異をよびおこす。
閉ざされていたはずの扉が開いたり、存在しないはずの人影がうつったり。
これは魔術ではないのか――」(巖谷國士)

★ファン待望の復刊! 貴重な設計図、新版によせた巖谷國士「窓からの眺め」を16頁増補。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2005年12月18日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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