書評

『澁澤龍彦との日々』(白水社)

  • 2023/08/05
澁澤龍彦との日々 / 澁澤 龍子
澁澤龍彦との日々
  • 著者:澁澤 龍子
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(219ページ)
  • 発売日:2009-10-01
  • ISBN-10:4560721076
  • ISBN-13:978-4560721070
内容紹介:
出会いと結婚、日々の生活、海外への旅、三島由紀夫をはじめとする作家や芸術家との交友、そして最後の日々を思い出とともにふりかえるエッセイ。妻の視点ならではの異才の世界を明らかにする。
三島由紀夫や埴谷雄高が予言したように、澁澤龍彦の著作は、日本の知的風土を大きく変えた。

<知>が古い学問から脱して、人間の巨大な快楽的営みの一環となり、プラトンとボマルツォの怪物庭園が、同じ風景のなかで新たな光を放ちはじめたのだ。

この奇跡を支えたのは、澁澤の純粋な資質だった。彼の本は、彼の資質の告白である。だからファンは澁澤の人間性に惹(ひ)かれる。

本書は、そんな澁澤ファンにとって垂涎(すいぜん)・必読の贈り物である。十八年間、彼とほぼ全生活をともにした夫人の回想録だからだ。

だが、回想録などと無粋な言葉で呼ぶにはあまりに軽やか、傍らで話を聞いているような、やさしくお茶目な語り口が楽しめる。

どのエピソードも澁澤龍彦の人間を彷彿(ほうふつ)とさせるが、無類のくいしん坊だった夫を語る件(くだり)など、血肉と化した澁澤のエピキュリアンぶりを知ることができる。まことに稀有(けう)の精神であり、人間だった。
澁澤龍彦との日々 / 澁澤 龍子
澁澤龍彦との日々
  • 著者:澁澤 龍子
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(219ページ)
  • 発売日:2009-10-01
  • ISBN-10:4560721076
  • ISBN-13:978-4560721070
内容紹介:
出会いと結婚、日々の生活、海外への旅、三島由紀夫をはじめとする作家や芸術家との交友、そして最後の日々を思い出とともにふりかえるエッセイ。妻の視点ならではの異才の世界を明らかにする。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2005年5月22日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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