書評

『華術師の伝説―いけばなの文化史』(アーツアンドクラフツ)

  • 2023/05/02
華術師の伝説―いけばなの文化史 / 海野 弘
華術師の伝説―いけばなの文化史
  • 著者:海野 弘
  • 出版社:アーツアンドクラフツ
  • 装丁:単行本(261ページ)
  • 発売日:2002-05-01
  • ISBN-10:4901592122
  • ISBN-13:978-4901592123
内容紹介:
古代から明治に至る「いけばな」の源流をたずね、花の芸術という、日本文化における魅力的な世界についての一つの世界を描く。『小原流挿花』に連載したものを加筆して単行本化。
いけばなの文化史は寺社の祭礼や社交遊戯と切ってもきれない関係があるので、さぞや明快な通史があるのだろうと思うと、闇に包まれた部分が多いのだそうだ。平安期から饗宴のための瓶花が現れるが、中世にはばさら者佐々木道誉の大がかりな花見、六角堂市場を背景にした池坊専応にはじまる花会、安土桃山時代の大雲院の豪壮な百瓶華会、と百花繚乱。

その背景には阿弥衆とか同朋衆とかいう山林における植物採集者たちの活動があった。やがて江戸。遊女の座敷飾りからしだいに一般家庭にも波及し、「女芸」としてのいけばなが表面化してくる。

著者は古代の巫女の花立てから十九世紀末の花の造形表現にいたる資料を博捜して、いけばな文化史の暗部と空白を埋めようとする。自然でありながら人工美でもあるという、いけばなのパラドックスは庭園造形にも共通しており、ガーデニングにも役立つさまざまのヒントが隠されていそうだ。
華術師の伝説―いけばなの文化史 / 海野 弘
華術師の伝説―いけばなの文化史
  • 著者:海野 弘
  • 出版社:アーツアンドクラフツ
  • 装丁:単行本(261ページ)
  • 発売日:2002-05-01
  • ISBN-10:4901592122
  • ISBN-13:978-4901592123
内容紹介:
古代から明治に至る「いけばな」の源流をたずね、花の芸術という、日本文化における魅力的な世界についての一つの世界を描く。『小原流挿花』に連載したものを加筆して単行本化。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2002年07月14日

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