書評
『華術師の伝説―いけばなの文化史』(アーツアンドクラフツ)
いけばなの文化史は寺社の祭礼や社交遊戯と切ってもきれない関係があるので、さぞや明快な通史があるのだろうと思うと、闇に包まれた部分が多いのだそうだ。平安期から饗宴のための瓶花が現れるが、中世にはばさら者佐々木道誉の大がかりな花見、六角堂市場を背景にした池坊専応にはじまる花会、安土桃山時代の大雲院の豪壮な百瓶華会、と百花繚乱。
その背景には阿弥衆とか同朋衆とかいう山林における植物採集者たちの活動があった。やがて江戸。遊女の座敷飾りからしだいに一般家庭にも波及し、「女芸」としてのいけばなが表面化してくる。
著者は古代の巫女の花立てから十九世紀末の花の造形表現にいたる資料を博捜して、いけばな文化史の暗部と空白を埋めようとする。自然でありながら人工美でもあるという、いけばなのパラドックスは庭園造形にも共通しており、ガーデニングにも役立つさまざまのヒントが隠されていそうだ。
その背景には阿弥衆とか同朋衆とかいう山林における植物採集者たちの活動があった。やがて江戸。遊女の座敷飾りからしだいに一般家庭にも波及し、「女芸」としてのいけばなが表面化してくる。
著者は古代の巫女の花立てから十九世紀末の花の造形表現にいたる資料を博捜して、いけばな文化史の暗部と空白を埋めようとする。自然でありながら人工美でもあるという、いけばなのパラドックスは庭園造形にも共通しており、ガーデニングにも役立つさまざまのヒントが隠されていそうだ。
朝日新聞 2002年07月14日
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