書評

『日本銀行 我が国に迫る危機』(講談社)

  • 2024/01/01
日本銀行 我が国に迫る危機 / 河村 小百合
日本銀行 我が国に迫る危機
  • 著者:河村 小百合
  • 出版社:講談社
  • 装丁:新書(288ページ)
  • 発売日:2023-03-16
  • ISBN-10:4065315107
  • ISBN-13:978-4065315101
内容紹介:
2013年日銀が「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)を始めてからもうすぐ10年が経つ。世界経済の急激な局面の転換によって、わが国は、この“超低金利状態”を維持できるかどうかの瀬戸際、まさに… もっと読む
2013年日銀が「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)を始めてからもうすぐ10年が経つ。世界経済の急激な局面の転換によって、わが国は、この“超低金利状態”を維持できるかどうかの瀬戸際、まさに崖っぷちに立っている。これまでの放漫財政路線を安易に継続し、異次元緩和を強引に押し通し続けようとすれば、遠からず、どういう事態に陥るのか。そして、それを回避するためには、私たちは何をなすべきなのか。世界の中央銀行の金融政策と財政に精通したエコノミストが警鐘を鳴らす。

異次元緩和は限界
日銀がいくらでも国債を買い入れられた
時代はもう終わりだ

●長期金利は“糸の切れた凧”に
●新規国債発行ストップで、社会保障費も防衛費も義務教育の国庫負担金も一律4割カットに
●財政破綻したギリシャは預金者1人・週当たり5万強の預金引き出し規制に
●最悪の事態を回避できる道はないのか

本書の内容
プロローグ 異次元緩和から9年、ついに現れた不穏な兆候
第1章 日本銀行に迫る債務超過の危機
第2章 我が国の財政運営に待ち受ける事態
第3章 異次元緩和とはどのようなものだったのか
第4章 欧米中銀との金融政策運営との比較でわかる日銀の“異端”さ
第5章 異次元緩和が支えたアベノミクスと残された代償
第6章 事実上の財政破綻になったら何が起きるか--戦後日本の苛烈な国内債務調整
第7章 変動相場制下での財政破綻になったら何が起きるか--近年の欧州の経験
第8章 我が国の再生に向けての私たちの責務
日本銀行はタイタニック号だ。黒田総裁が「異次元緩和」を一○年続け、国債を五六○兆円買い取った。《ひとたび利上げ局面に入れば…数十兆円単位…の…債務超過…が…数十年単位で長期化する》。だから意地でもゼロ金利なのだろう。このままなら氷山と衝突は時間の問題だ。

財政も道連れで破綻する。本年度予算一一四兆円のうち三一%は国債が頼み。歳出も二二%が国債費。将来国債が発行できなくなったら、歳出は国債償還が最優先。残りは《社会保障費も防衛費も…4割カット》になるはず。背筋が凍る見通しだ。

著者は日銀や日本総研で腕を磨いた専門家。《2000兆円を超える家計貯蓄があるから…、国債のほとんどを国内で消化しているから》大丈夫、を俗論と一蹴。敗戦後の政府は、GDPの267%(現状とほぼ同じ)もの国債償還のため、預金封鎖と新円切り替え→高率財産税で財源を確保した。最後はこうなる。

日銀は中央銀行の自律性を取り戻しなさい。日銀と政府の暴走を見過ごしてきた国民も《“甘え”や“無理解”、“無責任”》を脱却しなさい。後の世代に借金のツケを回さない。国を憂うる必読の正論である。
日本銀行 我が国に迫る危機 / 河村 小百合
日本銀行 我が国に迫る危機
  • 著者:河村 小百合
  • 出版社:講談社
  • 装丁:新書(288ページ)
  • 発売日:2023-03-16
  • ISBN-10:4065315107
  • ISBN-13:978-4065315101
内容紹介:
2013年日銀が「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)を始めてからもうすぐ10年が経つ。世界経済の急激な局面の転換によって、わが国は、この“超低金利状態”を維持できるかどうかの瀬戸際、まさに… もっと読む
2013年日銀が「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)を始めてからもうすぐ10年が経つ。世界経済の急激な局面の転換によって、わが国は、この“超低金利状態”を維持できるかどうかの瀬戸際、まさに崖っぷちに立っている。これまでの放漫財政路線を安易に継続し、異次元緩和を強引に押し通し続けようとすれば、遠からず、どういう事態に陥るのか。そして、それを回避するためには、私たちは何をなすべきなのか。世界の中央銀行の金融政策と財政に精通したエコノミストが警鐘を鳴らす。

異次元緩和は限界
日銀がいくらでも国債を買い入れられた
時代はもう終わりだ

●長期金利は“糸の切れた凧”に
●新規国債発行ストップで、社会保障費も防衛費も義務教育の国庫負担金も一律4割カットに
●財政破綻したギリシャは預金者1人・週当たり5万強の預金引き出し規制に
●最悪の事態を回避できる道はないのか

本書の内容
プロローグ 異次元緩和から9年、ついに現れた不穏な兆候
第1章 日本銀行に迫る債務超過の危機
第2章 我が国の財政運営に待ち受ける事態
第3章 異次元緩和とはどのようなものだったのか
第4章 欧米中銀との金融政策運営との比較でわかる日銀の“異端”さ
第5章 異次元緩和が支えたアベノミクスと残された代償
第6章 事実上の財政破綻になったら何が起きるか--戦後日本の苛烈な国内債務調整
第7章 変動相場制下での財政破綻になったら何が起きるか--近年の欧州の経験
第8章 我が国の再生に向けての私たちの責務

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2023年5月13日

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