書評

『あやうく一生懸命生きるところだった』(ダイヤモンド社)

  • 2024/02/23
あやうく一生懸命生きるところだった / ハ・ワン
あやうく一生懸命生きるところだった
  • 著者:ハ・ワン
  • 翻訳:岡崎 暢子
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(288ページ)
  • 発売日:2020-01-16
  • ISBN-10:447810865X
  • ISBN-13:978-4478108659
内容紹介:
東方神起のメンバーの愛読書としても話題となった、心がラクになる、ベストセラー人生エッセイがついに邦訳!「こんなに一生懸命生きているのに、自分の人生はなんでこうも冴えないんだ」と… もっと読む
東方神起のメンバーの愛読書としても話題となった、
心がラクになる、ベストセラー人生エッセイがついに邦訳!

「こんなに一生懸命生きているのに、
自分の人生はなんでこうも冴えないんだ」と、
やりきれない気持ちが限界に達し、
40歳を目前にして何のプランもないまま会社を辞め、
「一生懸命生きない」と決めた著者。

★ムリしてやる気を出さない
★みんなに合わせない
★金持ちを目指さない
★失敗したら、いさぎよく諦める
★なんでも深刻に向き合いすぎない
★「年相応」に縛られない
★「やりたい仕事」を探そうとしない
★何もしない一日を大切にする……

全力で走り続けることを辞めたことで見えてきた、
自分をすり減らす毎日から抜け出し、
自分らしく生きるコツとは?

【本書の目次】
プロローグ――今日から、必死に生きないと決めた

第1章 こうなりたくて、頑張ってきたわけじゃない
・なんのために頑張っているんだっけ?
・そもそもやる気がなくても働ける
・必要なのは、失敗を認める勇気
・そこまで深刻に生きるものじゃない……

第2章 一度くらいは思いのままに
・年を取ってから遊ぶだなんて!
・たまには年齢を忘れてみる
・"自分だけの人生"は失敗の上に成り立つ
・「ムダ足」こそ、人生の醍醐味だ……

第3章 生きていくって、たいしたことじゃない
・「やりたい仕事」なんて探しても見つからない
・いつかはみんな会社をやめる
・仕事にアレコレ求めすぎてない?
・お金のために自由を後回ししない……

第4章 あやうく一生懸命生きるところだった
・少しくらい遅れたって気にすんな
・思い通りにいかないほうが正常だ
・普通で、つまらない毎日を幸せに過ごす
・大切なのは「結果」ではなく「物語(プロセス)」……
私の座右の銘は「努力・勤勉・根性」。62年間、ひたすら真面目に、寝食忘れて働いてきた。心の中では今も時任三郎が「24時間戦えますか」と歌い続けている。

先日、書店でとんでもない本を見つけた。ハ・ワン著『あやうく一生懸命生きるところだった』(岡崎暢子訳・ダイヤモンド社・1595円)である。表紙のイラストはだらしないし、だいいち、タイトルがけしからん。一生懸命生きてきた私を嘲笑するのか。

内容はもっとけしからん。著者はイラストレーター。会社員との兼業だったが、40歳になるのをきっかけに、会社を辞めたのだという。それだけでなく、頑張ることも、我慢することも、ベストを尽くすこともやめた。なぜ一生懸命生きてはいけないかを蕩々と説いている。

パラパラめくると、文章だけでなく、あちこちに一コマ漫画のようなものがある。ブリーフ一丁の男があぐらをかいて<俗世の服を脱いだら気分爽快だなあ すこし肌寒い気もするけど……>なんていって。ブリーフ男は著者自身であり、俗世の服を脱いだ象徴らしい。私の生き方は俗世の服でがんじがらめだと言いたいのか。くやしい。

目次を眺めると、必死に生きないための名言が並んでいる。ちょっと気が利いていて、でも、どこかで聞いたことがあるような言葉だ。<必要なのは、失敗を認める勇気>とか、<そこまで深刻に生きるものじゃない>とか。<「やりたい仕事」なんて探しても見つからない>なんていうのもある。

著者の根性はねじ曲がっている。偉大なるノーベル文学賞万年候補、村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』から、<努力したって、必ず報われるわけではない>というメッセージを読み取ったというのだから。やれやれ……。

この脱力人生訓エッセイが韓国ではベストセラーなのだという。日本よりもうんと上手く新型コロナウイルスに対処した国では、こんな本が読まれているなんて。ああ、私も一生懸命生きるのがバカらしくなってきた。
あやうく一生懸命生きるところだった / ハ・ワン
あやうく一生懸命生きるところだった
  • 著者:ハ・ワン
  • 翻訳:岡崎 暢子
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(288ページ)
  • 発売日:2020-01-16
  • ISBN-10:447810865X
  • ISBN-13:978-4478108659
内容紹介:
東方神起のメンバーの愛読書としても話題となった、心がラクになる、ベストセラー人生エッセイがついに邦訳!「こんなに一生懸命生きているのに、自分の人生はなんでこうも冴えないんだ」と… もっと読む
東方神起のメンバーの愛読書としても話題となった、
心がラクになる、ベストセラー人生エッセイがついに邦訳!

「こんなに一生懸命生きているのに、
自分の人生はなんでこうも冴えないんだ」と、
やりきれない気持ちが限界に達し、
40歳を目前にして何のプランもないまま会社を辞め、
「一生懸命生きない」と決めた著者。

★ムリしてやる気を出さない
★みんなに合わせない
★金持ちを目指さない
★失敗したら、いさぎよく諦める
★なんでも深刻に向き合いすぎない
★「年相応」に縛られない
★「やりたい仕事」を探そうとしない
★何もしない一日を大切にする……

全力で走り続けることを辞めたことで見えてきた、
自分をすり減らす毎日から抜け出し、
自分らしく生きるコツとは?

【本書の目次】
プロローグ――今日から、必死に生きないと決めた

第1章 こうなりたくて、頑張ってきたわけじゃない
・なんのために頑張っているんだっけ?
・そもそもやる気がなくても働ける
・必要なのは、失敗を認める勇気
・そこまで深刻に生きるものじゃない……

第2章 一度くらいは思いのままに
・年を取ってから遊ぶだなんて!
・たまには年齢を忘れてみる
・"自分だけの人生"は失敗の上に成り立つ
・「ムダ足」こそ、人生の醍醐味だ……

第3章 生きていくって、たいしたことじゃない
・「やりたい仕事」なんて探しても見つからない
・いつかはみんな会社をやめる
・仕事にアレコレ求めすぎてない?
・お金のために自由を後回ししない……

第4章 あやうく一生懸命生きるところだった
・少しくらい遅れたって気にすんな
・思い通りにいかないほうが正常だ
・普通で、つまらない毎日を幸せに過ごす
・大切なのは「結果」ではなく「物語(プロセス)」……

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2020年5月2日

毎日新聞のニュース・情報サイト。事件や話題、経済や政治のニュース、スポーツや芸能、映画などのエンターテインメントの最新ニュースを掲載しています。

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
永江 朗の書評/解説/選評
ページトップへ