書評
『ぼくはテクノロジーを使わずに生きることにした』(紀伊國屋書店)
アイルランドの小農場に自分で建てた小屋に電気で動くものは何もない。冬の初めのある日の午後11時、最後のメールチェック後に携帯電話の電源を切った。ガスコンロ、時計、水道もない生活が始まり、秋までの一年が記録される。
すでに「カネなし」の生活を体験している著者は、「シンプルであることの複雑さを真摯に探求したい思いはますますつのり、逆に、正しくあろうという気は薄れた」状態でこの生活を始めるのだ。
摩擦で火をつけた瞬間突如世界が意味ある存在に転じた、森に入り斧で割った薪の山は一日中見惚れたい魅力があるなど、テクノロジーなしの暮らしでしか得られない心の動きに惹かれる。ビーガンだった著者が、湖で釣った魚や交通事故死したシカを食べるようになるのも興味深い。
ここにあるのは単なる機械への反撥ではなく、納得のいく暮らしの模索であり、読者に自分の生活を見直すきっかけを与えてくれる。因みに本書の原稿は手書きだが、最後は出版のため電子データにする妥協をしたと悩みが語られる。
すでに「カネなし」の生活を体験している著者は、「シンプルであることの複雑さを真摯に探求したい思いはますますつのり、逆に、正しくあろうという気は薄れた」状態でこの生活を始めるのだ。
摩擦で火をつけた瞬間突如世界が意味ある存在に転じた、森に入り斧で割った薪の山は一日中見惚れたい魅力があるなど、テクノロジーなしの暮らしでしか得られない心の動きに惹かれる。ビーガンだった著者が、湖で釣った魚や交通事故死したシカを食べるようになるのも興味深い。
ここにあるのは単なる機械への反撥ではなく、納得のいく暮らしの模索であり、読者に自分の生活を見直すきっかけを与えてくれる。因みに本書の原稿は手書きだが、最後は出版のため電子データにする妥協をしたと悩みが語られる。
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