書評
『シェフチェンコ詩集』(岩波書店)
ウクライナの国民詩人シェフチェンコ(一八一四―六一)の詩集である。シェフチェンコはウクライナで農奴の身分に生まれたが、その才能を認める人々の尽力のおかげで農奴身分から解放され、ロシアの首都ペテルブルク(当時)で絵の勉強に励むかたわら、詩人として活躍を始めた。当時ウクライナはまだ独立国家ではなく、ウクライナ語も独立した文化言語とは認められていなかった。そんな時期に、ウクライナの豊かなイメージと強烈な愛郷心に満ちた彼の詩は、ウクライナ語による近代文学を切り開くものだった。
ここで彼は、ウクライナを迫害したロシアの皇帝たちを「死刑執行人」「食人鬼」と厳しく非難する一方で、「ウクライナよ、哭け! 子どもを亡くした母よ!」と不幸な祖国の運命を嘆く。そしてウクライナの多難な未来の栄光を予言する――「ウクライナの栄光が 蘇るであろう。/そして 暗闇のない 明るい世界が/静かに輝き始めるだろう……」。いまだにこの詩人がウクライナ人の心の拠り所となっている理由がよくわかる、力強く美しい詩句の数々だ。
ここで彼は、ウクライナを迫害したロシアの皇帝たちを「死刑執行人」「食人鬼」と厳しく非難する一方で、「ウクライナよ、哭け! 子どもを亡くした母よ!」と不幸な祖国の運命を嘆く。そしてウクライナの多難な未来の栄光を予言する――「ウクライナの栄光が 蘇るであろう。/そして 暗闇のない 明るい世界が/静かに輝き始めるだろう……」。いまだにこの詩人がウクライナ人の心の拠り所となっている理由がよくわかる、力強く美しい詩句の数々だ。
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