書評

『文字の消息』(書肆侃侃房)

  • 2024/04/21
文字の消息 / 澤西 祐典
文字の消息
  • 著者:澤西 祐典
  • 出版社:書肆侃侃房
  • 装丁:単行本(168ページ)
  • 発売日:2018-06-18
  • ISBN-10:486385319X
  • ISBN-13:978-4863853195
内容紹介:
どこからともなく降り積もる“文字"が日常を脅かしてゆく。家が、街が、やがて文字に埋もれ……表題作「文字の消息」。全身が少しずつ砂糖へと変わる病に侵された母と、その母を看取る娘の物… もっと読む
どこからともなく降り積もる“文字"が日常を脅かしてゆく。家が、街が、やがて文字に埋もれ……表題作「文字の消息」。全身が少しずつ砂糖へと変わる病に侵された母と、その母を看取る娘の物語「砂糖で満ちてゆく」。入り江に静かにたたずみ、災いをもたらすとされる巨大な船に翻弄される町を描いた「災厄の船」。静かに寄せてくる波のように、私たちの日常を侵食していく3編の物語。

文字が降る幻想的な世界

文字が降ってくる町に住んでいる夫婦からの書簡が小説を構成している。え? 文字が降ってくるって? と読者は思われるだろう。

そんな疑問などどこ吹く風。小説の中で、そして小説の中の手紙の中で、どんどんと文字は降り積もり、ついにはある老女の家を押しつぶしてしまう。

そうした限界状況の中でも、人々は、文字を料理の隠し味に使ったり、たとえば「倫」という文字が形を崩さずに紫陽花の枝のうえに降り積もっているのを、そっと収集したりもするのだ。

手紙が何の目的で書かれているかは読んでのお楽しみ。著者の澤西祐典の持つ、幻想小説の王道とも言える世界を味読されたし。




文字の消息 / 澤西 祐典
文字の消息
  • 著者:澤西 祐典
  • 出版社:書肆侃侃房
  • 装丁:単行本(168ページ)
  • 発売日:2018-06-18
  • ISBN-10:486385319X
  • ISBN-13:978-4863853195
内容紹介:
どこからともなく降り積もる“文字"が日常を脅かしてゆく。家が、街が、やがて文字に埋もれ……表題作「文字の消息」。全身が少しずつ砂糖へと変わる病に侵された母と、その母を看取る娘の物… もっと読む
どこからともなく降り積もる“文字"が日常を脅かしてゆく。家が、街が、やがて文字に埋もれ……表題作「文字の消息」。全身が少しずつ砂糖へと変わる病に侵された母と、その母を看取る娘の物語「砂糖で満ちてゆく」。入り江に静かにたたずみ、災いをもたらすとされる巨大な船に翻弄される町を描いた「災厄の船」。静かに寄せてくる波のように、私たちの日常を侵食していく3編の物語。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2018年8月2日

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