書評
『ハーレム・シャッフル』(早川書房)
『地下鉄道』が話題になった著者。2016年発表の同作では、南部から北部へ逃れる黒人奴隷を描いたが、本作の舞台は1960年前後のニューヨーク市ハーレム。アフリカ系男性のカーニーを主人公にした痛快な犯罪小説である。
カーニーは100%の善人というわけではないが、大悪党というわけでもない。家具店を営む裏で、こっそり盗品の売買にかかわっている。それでも心では、妻と幼い子供のために、より善(よ)く平穏に生きたいと願っている。
そんなカーニーをじゃまするのが従弟(いとこ)のフレディ。ギャングからも追われるようなヤバい仕事に手を染めて、カーニーに助けを求めてくる。理性では断りたいのに、情がそれを許さない。義理と人情の板挟み。なんだか日本のヤクザ映画みたい。不本意ながら犯罪に引き込まれていく、その「ずるずる」感がたまらない。
背景として描き込まれているのは、人種差別と公民権運動の高まり。アフリカ系少年が白人警官に射殺され、ハーレムの街は抗議活動や警官隊との衝突で騒然とする。カーニーが嫌った親戚としての情は、差別社会を生き延びるための道具でもある。
カーニーは100%の善人というわけではないが、大悪党というわけでもない。家具店を営む裏で、こっそり盗品の売買にかかわっている。それでも心では、妻と幼い子供のために、より善(よ)く平穏に生きたいと願っている。
そんなカーニーをじゃまするのが従弟(いとこ)のフレディ。ギャングからも追われるようなヤバい仕事に手を染めて、カーニーに助けを求めてくる。理性では断りたいのに、情がそれを許さない。義理と人情の板挟み。なんだか日本のヤクザ映画みたい。不本意ながら犯罪に引き込まれていく、その「ずるずる」感がたまらない。
背景として描き込まれているのは、人種差別と公民権運動の高まり。アフリカ系少年が白人警官に射殺され、ハーレムの街は抗議活動や警官隊との衝突で騒然とする。カーニーが嫌った親戚としての情は、差別社会を生き延びるための道具でもある。
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