書評
『6Bの鉛筆で書く』(ブロンズ新社)
手元に置いて、時々パッと開いたページのエッセイを読み、写真を眺めるとそこに豊かな時間が生まれる。そんな本だ。48点の写真は、鍋や丸太や道に置かれた椅子など、どこにもありそうなものばかりなのに、撮影された国の暮らしがくっきり見える。著者ならではの切り取りだ。エッセイも著者ならではのものばかり。「着ぐるみ/中に熊が入っている熊の着ぐるみって面白い。中に人が入っている人の着ぐるみってのもなかなかいい。中に人が入っている熊の着ぐるみってのが最低だ。中に熊の入っている人の着ぐるみってのが危険だ」。笑いながら、考えながら思わず全文引用してしまった。
「身体/たとえて言えばレンタカーか」。えっと思い、読むうちになるほどとなる。だから、どこを開いても、いつ開いてもいいのだ。小さな文を書くのは、町内でなく脳内をぶらぶらする散歩であり、なんとなく快いし必要なんだと著者は言う。途中で誰かさんに会っての立ち話もいいとも。みんながこんな日々を送ったら、権力とか武力とかを振り回すことなく、立ち話でことを解決できるのにと思う。6Bの鉛筆で書いてみたくなった。買ってこよう。
「身体/たとえて言えばレンタカーか」。えっと思い、読むうちになるほどとなる。だから、どこを開いても、いつ開いてもいいのだ。小さな文を書くのは、町内でなく脳内をぶらぶらする散歩であり、なんとなく快いし必要なんだと著者は言う。途中で誰かさんに会っての立ち話もいいとも。みんながこんな日々を送ったら、権力とか武力とかを振り回すことなく、立ち話でことを解決できるのにと思う。6Bの鉛筆で書いてみたくなった。買ってこよう。