書評

『楽しく読むだけでアタマがキレッキレになる 奇跡の経済教室【大論争編】』(ベストセラーズ)

  • 2024/07/10
楽しく読むだけでアタマがキレッキレになる 奇跡の経済教室【大論争編】 / 中野 剛志
楽しく読むだけでアタマがキレッキレになる 奇跡の経済教室【大論争編】
  • 著者:中野 剛志
  • 出版社:ベストセラーズ
  • 装丁:単行本(384ページ)
  • 発売日:2022-03-22
  • ISBN-10:4584139830
  • ISBN-13:978-4584139837
内容紹介:
「現在も社会一般・経済分野でベストセラーの『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』の続編ですが、前の二冊を読… もっと読む
「現在も社会一般・経済分野でベストセラーの『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』の続編ですが、前の二冊を読んではいない方でも理解できるよう、分かりやすく書かれています。

コロナ禍など前二冊刊行以後の世の中の変化も踏まえた内容になっています。

しかし、本書には、それ以上に、前二冊にはない特別な点があります。
それは、経済についての知識を学ぶためだけではなく、ものごとを「考える力」を磨くということを目的として書かれているということです。

世の中には、たくさんの情報があふれ、いろいろな議論が日々流れています。
しかし、政府の発表、新聞、テレビ、ネットなどのマスメディア、最近ではソーシャルメディアから流れてくる情報、あるいは大学教授や専門家による解説や主張について、普通の人々は、つい鵜呑みにしてしまいがちです。

実は、経済についての専門的な知識がなくても、私たちが普通に持っている「考える力」を引き出しさえすれば、どの専門家が正しくて、どの専門家が間違っているかが、かなりの程度、分かってくるようになるのです。
実際、大学教授や専門家といった人々でも、矛盾しているとすぐ分かるようなことを平気で言ったり、書いたりしていることが、たくさんあります。

しかも、だいたい、同じような間違いをしています。そうは思えないのは、おそらく「経済学の教授」「経済の専門家」といった肩書に惑わされているからでしょう。

しかし、専門的な知識がなくても、普通に「考える力」を使えば、専門家たちの間違いに気づくことができます。
そして、自分は、同じような間違いをしないですむようになります。

本書の本当の目的は、その「考える力」を使うコツを伝授することにあります。
経済というテーマは、「考える力」を引き出すための題材に過ぎません。
ですから、本書で身につけた「考える力」は、経済以外の問題について考える際にも必ず使えるものになるのです。」
(中野剛志)
参院選は経済論議どころではなかったが、本来は「積極財政の是非」につき丁々発止すべきところ。本書はMMT(現代貨幣理論)の立場から擁護する。昨年『文藝春秋』11月号に掲載された矢野康治「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」への反論を軸に、矢野氏に同調する経済学者を実名つきでなで切りにしている。

ソクラテス、シャーロック・ホームズ、プラグマティズム等の論法で「アタマをキレッキレに」するという謳い文句は怪しい。だがユーロに縛られ独自の金融政策を講じられない独仏と違い、基軸通貨国アメリカやユーロから独立したイギリス同様、日本は自国通貨を自由に発券できる。余剰人材を政府が雇用し、日銀が国債を購入しても財政が破綻しないのは事実だ。

そこで残る金利の高騰と、制御不能のインフレが生じる可能性が検討される。結局のところ、経済学者は「供給は常に需要を生む」説(セーの法則)を前提とし、財務官僚は均衡予算が、景気対策よりも守りたいご本尊なのだと分かる。そもそもコロナ対策の給付金支給で、MMTは成功裏に実行されたと思われるのだが。
楽しく読むだけでアタマがキレッキレになる 奇跡の経済教室【大論争編】 / 中野 剛志
楽しく読むだけでアタマがキレッキレになる 奇跡の経済教室【大論争編】
  • 著者:中野 剛志
  • 出版社:ベストセラーズ
  • 装丁:単行本(384ページ)
  • 発売日:2022-03-22
  • ISBN-10:4584139830
  • ISBN-13:978-4584139837
内容紹介:
「現在も社会一般・経済分野でベストセラーの『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』の続編ですが、前の二冊を読… もっと読む
「現在も社会一般・経済分野でベストセラーの『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』の続編ですが、前の二冊を読んではいない方でも理解できるよう、分かりやすく書かれています。

コロナ禍など前二冊刊行以後の世の中の変化も踏まえた内容になっています。

しかし、本書には、それ以上に、前二冊にはない特別な点があります。
それは、経済についての知識を学ぶためだけではなく、ものごとを「考える力」を磨くということを目的として書かれているということです。

世の中には、たくさんの情報があふれ、いろいろな議論が日々流れています。
しかし、政府の発表、新聞、テレビ、ネットなどのマスメディア、最近ではソーシャルメディアから流れてくる情報、あるいは大学教授や専門家による解説や主張について、普通の人々は、つい鵜呑みにしてしまいがちです。

実は、経済についての専門的な知識がなくても、私たちが普通に持っている「考える力」を引き出しさえすれば、どの専門家が正しくて、どの専門家が間違っているかが、かなりの程度、分かってくるようになるのです。
実際、大学教授や専門家といった人々でも、矛盾しているとすぐ分かるようなことを平気で言ったり、書いたりしていることが、たくさんあります。

しかも、だいたい、同じような間違いをしています。そうは思えないのは、おそらく「経済学の教授」「経済の専門家」といった肩書に惑わされているからでしょう。

しかし、専門的な知識がなくても、普通に「考える力」を使えば、専門家たちの間違いに気づくことができます。
そして、自分は、同じような間違いをしないですむようになります。

本書の本当の目的は、その「考える力」を使うコツを伝授することにあります。
経済というテーマは、「考える力」を引き出すための題材に過ぎません。
ですから、本書で身につけた「考える力」は、経済以外の問題について考える際にも必ず使えるものになるのです。」
(中野剛志)

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2022年7月30日

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