書評

『2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」』(講談社)

  • 2020/01/26
2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」 /
2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」
  • 翻訳:谷町 真珠
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(202ページ)
  • 発売日:2013-04-19
  • ISBN-10:4062183765
  • ISBN-13:978-4062183765
内容紹介:
アメリカの情報機関が総力を結集して作成した世界情勢予測レポート「グローバルトレンド2030」の緊急翻訳版

2030年はインドが1位か?

元職員エドワード・スノーデンによって、米国の国家安全保障局が同盟国に対してすら盗聴を行っていたことが暴露された。もっとも、驚いた人は少ないだろう。「おおかたそんなことだろうと思ってたよ」というのが多くの感想だ(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2013年)。

覇権国家というのは軍事力と経済力だけでなく、情報の収集と分析力も強大だ。で、その米国の情報機関、米国国家情報会議が編集したのが『2030年 世界はこう変わる』である。日本やEUも含め、世界中を盗聴しまくって集めた情報を分析しているのだから、信頼度は抜群だ。ただし書きぶりは慎重で、ある程度の幅を持った予測となっている。

多くの日本人は、この本を読んでがっかりするだろう。17年後の未来、日本はいま以上にしょぼい国になっている。アメリカも落ち目。伸びているのはアジアで、しかも中国とインドがすごい。でも、中国もすでに陰りが見えて、いちばんはインドかも……というのが予測である。これも「おおかたそんなことだろうと思ってたよ」というのが正直な感想か。

中国(だけ)には負けたくない、と思っている日本人も多いだろう。書店の本棚には、中国の破綻を祈願するかのような本がたくさん並んでいる。しかし中国が日本よりも経済的に成長しているのは事実だし、日本が遠からず超々高齢化社会になることも避けられない。

最近のインドというと、集団レイプ事件などひどいニュースばかり流れてくるが、経済力の伸びはすさまじい。やはり若い人がたくさんいる国は勢いがある。

もっとも、国家の興亡と国民の幸不幸は必ずしも同じではない。勤めている会社の景気がいいからといって、社員がみんなハッピーだとは限らないように。金持ちの国に生まれても、幸福を実感できない人はたくさんいる。

日本のことを離れて、地球全体で考えると、水や食糧の危機は深刻だ。17年後も人類は生き延びているのだろうか。
2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」 /
2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」
  • 翻訳:谷町 真珠
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(202ページ)
  • 発売日:2013-04-19
  • ISBN-10:4062183765
  • ISBN-13:978-4062183765
内容紹介:
アメリカの情報機関が総力を結集して作成した世界情勢予測レポート「グローバルトレンド2030」の緊急翻訳版

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初出メディア

週刊朝日

週刊朝日 2013年7月26日

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