書評

『地球にちりばめられて』(講談社)

  • 2024/09/14
地球にちりばめられて / 多和田 葉子
地球にちりばめられて
  • 著者:多和田 葉子
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(352ページ)
  • 発売日:2021-09-15
  • ISBN-10:4065238153
  • ISBN-13:978-4065238158
内容紹介:
「国」や「言語」の境界が危うくなった現代を照射する、新たな代表作!留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出… もっと読む
「国」や「言語」の境界が危うくなった現代を照射する、新たな代表作!

留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。

誰もが移民になりえる時代に、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。

移民時代の感覚を実践

登場人物の一人、Hirukoは、留学中に自分の故国である島国が消滅、意図せずして移民になってしまう。ノルウェーのトロンハイムに住んでいたが、たまたま現地の「メルヘン・センター」の求人広告を見つけ、自分の作った言語「パンスカ」を移民の子どもたちに教えてみたいと思い立つ。

え? 自分の作った言語? と読者は驚くが、彼女はこともなげにその言語が「スカンジナビアならどこの国に行っても通じる人工語」と説明し、「汎」という意味の「パン」と、「スカンジナビア」の「スカ」をくっつけた言葉だと語る。

誰もが移民になり得る時代に、小説言語でその感覚を実践する著者の、新しい傑作。
地球にちりばめられて / 多和田 葉子
地球にちりばめられて
  • 著者:多和田 葉子
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(352ページ)
  • 発売日:2021-09-15
  • ISBN-10:4065238153
  • ISBN-13:978-4065238158
内容紹介:
「国」や「言語」の境界が危うくなった現代を照射する、新たな代表作!留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出… もっと読む
「国」や「言語」の境界が危うくなった現代を照射する、新たな代表作!

留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。

誰もが移民になりえる時代に、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2018年5月10日

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
陣野 俊史の書評/解説/選評
ページトップへ