書評

『百年戦争-中世ヨーロッパ最後の戦い』(中央公論新社)

  • 2025/01/21
百年戦争-中世ヨーロッパ最後の戦い / 佐藤 猛
百年戦争-中世ヨーロッパ最後の戦い
  • 著者:佐藤 猛
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:新書(286ページ)
  • 発売日:2020-03-17
  • ISBN-10:4121025822
  • ISBN-13:978-4121025821
内容紹介:
フランスを主戦場として英仏王家が攻防を繰り広げた百年戦争(一三三七~一四五三)。イングランドの大陸領をめぐる積年の対立に、フランス王位継承権争いが絡んで勃発した。当初イングランド… もっと読む
フランスを主戦場として英仏王家が攻防を繰り広げた百年戦争(一三三七~一四五三)。イングランドの大陸領をめぐる積年の対立に、フランス王位継承権争いが絡んで勃発した。当初イングランドが優勢だったが、ジャンヌ・ダルクによるオルレアン解放後、フランスが巻き返して勝利する。戦乱を経て、英仏双方で国民意識はどのように生まれたか。ヨーロッパ中世に終止符を打った戦争の全貌を描き、その歴史的意義を解明する。

目次
序章 中世のイングランドとフランス―一〇六六~一三四〇年
第1章 イングランドの陸海制覇―一三三七~五〇年
第2章 フランス敗戦下の混乱―一三五〇~六〇年
第3章 平和条約をめぐる駆け引き―一三六〇~八〇年
第4章 教会大分裂下の休戦と内戦―一三七八~一四一二年
第5章 英仏連合王国の盛衰―一四一三~三六年
第6章 フランス勝利への戦略―一四三七~五三年
終章 百年戦争は何を遺したのか
ヨーロッパ中世史は日本人には分かりづらい。背景には、王侯貴族が乱立し、さまざまな姻戚関係を結び、複雑にからむ王位継承問題がある。百年戦争は、一三三七年のフランス王位と領土をめぐる係争に端を発し、一四五三年にボルドー陥落によるイギリス勢力撤退で幕を閉じる。

戦争勃発時イングランド王国は一三万平方キロの国土に五〇〇万人弱が住み、フランス王国は四二万平方キロの国土に一七〇〇万人がいた。国土も人口も三倍以上の差があった。英王家と仏王家はもともとフランス北西部の同じ母胎に発祥し、そこに拠点があった。やがてドーヴァー海峡をはさんで別の国家に成長していく。兄弟姉妹が喧嘩と仲直りをくりかえす、ありふれた戦争だった。

そもそもイギリス人とフランス人が対峙する戦争でもなかったのに、いつの間にか、二つの王国の戦争になっていく。途中、黒死病(ペスト)の蔓延もあり、一筋縄ではいかなかった。本書は誰が百年を戦ったのかという戦争の当事者に焦点をあてている。それによって、ヨーロッパ中世が断ち切られ、近代に連なる国家が形成されたことを鮮明に浮きぼりにする。
百年戦争-中世ヨーロッパ最後の戦い / 佐藤 猛
百年戦争-中世ヨーロッパ最後の戦い
  • 著者:佐藤 猛
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:新書(286ページ)
  • 発売日:2020-03-17
  • ISBN-10:4121025822
  • ISBN-13:978-4121025821
内容紹介:
フランスを主戦場として英仏王家が攻防を繰り広げた百年戦争(一三三七~一四五三)。イングランドの大陸領をめぐる積年の対立に、フランス王位継承権争いが絡んで勃発した。当初イングランド… もっと読む
フランスを主戦場として英仏王家が攻防を繰り広げた百年戦争(一三三七~一四五三)。イングランドの大陸領をめぐる積年の対立に、フランス王位継承権争いが絡んで勃発した。当初イングランドが優勢だったが、ジャンヌ・ダルクによるオルレアン解放後、フランスが巻き返して勝利する。戦乱を経て、英仏双方で国民意識はどのように生まれたか。ヨーロッパ中世に終止符を打った戦争の全貌を描き、その歴史的意義を解明する。

目次
序章 中世のイングランドとフランス―一〇六六~一三四〇年
第1章 イングランドの陸海制覇―一三三七~五〇年
第2章 フランス敗戦下の混乱―一三五〇~六〇年
第3章 平和条約をめぐる駆け引き―一三六〇~八〇年
第4章 教会大分裂下の休戦と内戦―一三七八~一四一二年
第5章 英仏連合王国の盛衰―一四一三~三六年
第6章 フランス勝利への戦略―一四三七~五三年
終章 百年戦争は何を遺したのか

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2020年6月13日

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