書評

『ホット・ゾーン』(飛鳥新社)

  • 2017/08/23
ホット・ゾーン / リチャード・プレストン
ホット・ゾーン
  • 著者:リチャード・プレストン
  • 翻訳:高見 浩
  • 出版社:飛鳥新社
  • 装丁:単行本(468ページ)
  • 発売日:2014-09-25
  • ISBN-10:4864103674
  • ISBN-13:978-4864103671
内容紹介:
脅威の感染メカニズムから、ウィルス制圧に命をかけた医療関係者たちの戦いまで―—。再燃する「エボラ出血熱」のすべてを描ききった、手に汗にぎるノンフィクションが蘇ります。「解説書としての分かりやすさ」と、「小説のように一気に読める面白さ」を兼ね備え、日本をはじめとする全世界で大ベストセラーになった一冊です。

今もなお去っていない危機

本書が最初に刊行されたのは、エボラ出血熱がいまのように知られていない約20年前。それが今年に入ってからのエボラの大流行に伴って復刊された(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2014年)。

本書の前半は、エボラ出血熱がどのように発生し、知られるようになったかについて。

1976年、アフリカのザイール(当時)、スーダンで多くの死者を出したのが最初のエボラの流行。当時はまだ知識もなく、医療関係者にも犠牲が出た。

ウイルスの発祥地は、中央アフリカ。エボラと同じ性質のマールブルグ・ウイルスの発祥地ケニアのキタム洞窟に35人の大規模調査団が派遣される。

後半で描かれるのは、アフリカではなくアメリカの首都ワシントン近郊で発生した危機だ。

フィリピンから輸入された500匹の猿の間でエボラらしきウイルスが蔓延(まんえん)。これを、防護服に身を包んだ陸軍の部隊が殲滅(せんめつ)にかかる。軍もあからさまな行動はできない。メディアが嗅ぎ付ければ、大都市はパニックに襲われるのだ。彼らの活躍により、都市部でのエボラ禍という最悪の事態は回避される。

本書が描くのは、かつてない獰猛(どうもう)な感染力と高い致死率を持つウイルスと人類の戦争。その戦争は、今年最激戦の時を迎えている。

過去のエボラ禍では最大の死者数は300人程度。それが今年のアフリカ西部を中心としたエボラでの死者数は、5459人(11月21日WHO発表)に上っている。かつてない規模であることは明白だ。

リベリア、シエラレオネなどでは、ベッド数も足りず、感染者の適切な隔離すら満足にできていない状況。アメリカは、エボラ拡大を阻止するための軍隊を3千人規模に増員する。

日本でのエボラ出血熱関連の報道は、一段落の印象があるが、危機は去っていない。
ホット・ゾーン / リチャード・プレストン
ホット・ゾーン
  • 著者:リチャード・プレストン
  • 翻訳:高見 浩
  • 出版社:飛鳥新社
  • 装丁:単行本(468ページ)
  • 発売日:2014-09-25
  • ISBN-10:4864103674
  • ISBN-13:978-4864103671
内容紹介:
脅威の感染メカニズムから、ウィルス制圧に命をかけた医療関係者たちの戦いまで―—。再燃する「エボラ出血熱」のすべてを描ききった、手に汗にぎるノンフィクションが蘇ります。「解説書としての分かりやすさ」と、「小説のように一気に読める面白さ」を兼ね備え、日本をはじめとする全世界で大ベストセラーになった一冊です。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2014年11月23日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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