書評

『syunkonカフェごはん (e-MOOK)』(宝島社)

  • 2017/09/22
syunkonカフェごはん  / 山本 ゆり
syunkonカフェごはん
  • 著者:山本 ゆり
  • 出版社:宝島社
  • 装丁:大型本(95ページ)
  • 発売日:2011-04-07
  • ISBN-10:4796682007
  • ISBN-13:978-4796682008

こだわらない姿勢の魅力

『syunkon カフェごはん』は、「どこにでもある材料」「誰にでもできる料理」と銘打った料理レシピ本。何かを作りたい人のためのレシピではなく、めんどくさがり屋でも「作る気が起きる」レシピを自称し、シリーズ3冊累計で200万部超のヒットを記録しているという。

元々は人気のレシピブログ。数多(あまた)のレシピブログがある中で、著者の山本ゆりが支持されたのは、その正直さの部分。レシピなのに「面倒くさい」と書く大胆さ。「よっぽどのことがない限りおいしくできます」は魅力的な決め台詞(せりふ)。材料もバターにこだわらず「またはマーガリン」と書くのも真骨頂。余計なこだわりに執着しない姿勢が魅力であり、いまどきである。

先に亡くなった料理研究家の小林カツ代が登場したのは1960年代。合理性をレシピに導入することで手順を簡略化し、当時の忙しい主婦たちの支持を得た。彼女のレシピは、当時まだ多かった専業主婦たちに自分の時間を与えるという手助けをしたという功績がある。

著者はこれを書き始めた当初、朝早くから夜遅くまで働く勤め人だった。朝早く起きて、または休みに料理をして、ブログに載せたという。この苦労は、彼女同様に悠長に料理をしている余裕のない人々の生活の改善に結びついているのだろう。

かつて『聡明(そうめい)な女は料理がうまい』というベストセラー書があった。ウーマンリブの流れで、女性が台所にしばりつけられることが批判された時代に、むしろ自立した女こそ料理の技を磨くべきだと、著者の桐島洋子は主張した。男女の違いなく仕事に忙殺される現代において、この桐島の主張は、届きやすくなっているのではないか。

本レシピが裏側で主張していることとは、「聡明な女は手を抜いても料理がうまい」だ。
syunkonカフェごはん  / 山本 ゆり
syunkonカフェごはん
  • 著者:山本 ゆり
  • 出版社:宝島社
  • 装丁:大型本(95ページ)
  • 発売日:2011-04-07
  • ISBN-10:4796682007
  • ISBN-13:978-4796682008

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2014年2月16日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

関連記事
速水 健朗の書評/解説/選評
ページトップへ