宗教学者、評論家。1931(昭和6)年、サンフランシスコ生まれ。1954年、東北大学インド哲学科卒業。国際日本文化研究センター名誉教授(元所長)、国立歴史民俗博物館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授。著書に『髑髏となってもかまわない』『義理と人情 長谷川伸と日本人のこころ』『これを語りて日本人を戦慄せしめ…もっと読む
- 『カントロヴィッチ―ある歴史家の物語』(みすず書房)山折 哲雄
王権論に結実した人生遍歴王には二つの身体がある。一つは生理的に死滅する身体、もう一つが永遠に生きつづける象徴的な身体、――そういう考え方が東…
書評 - 『日本思想史骨』(構想社)山折 哲雄
幕末の国学と「一神教への呻き」この新保さんの新著にふれて私は、近ごろ珍しく潔い、そして勁(つよ)い文章に出会ったという思いを禁じえません。…
書評 - 『「飢餓」と「飽食」―食料問題の十二章』(講談社)山折 哲雄
本書の叙述は控え目で、地道なものだ。しかし注意深く読めば、そこに描きだされている問題が重かつ大であることがただちにわかる。アフリカなどの「…
書評 - 『耶律楚材 上 草原の夢』(集英社)山折 哲雄
陰影に富んだ壮大な叙事詩十三世紀はモンゴル帝国の時代だ。チンギス・ハンとその息子たちが、ユーラシア大陸のほぼ全域にその勢力をのばし、強烈な…
書評 - 『失われた福音書―Q資料と新しいイエス像 新装版』(青土社)山折 哲雄
「反俗の哲人イエス」を論証いま聖書の解読が新紀元を迎え、イエスの新たな歴史像が大胆な仮説のもとに登場してきた。一九四九年以降に発見された死…
書評 - 『日本人はなぜ切腹するのか』(東京堂出版)山折 哲雄
豊富な資料駆使、起源たどる二つの偏見があった。一つはハラキリは日本人の残酷性を示す異常行為だとする外国人による偏見。もう一つが、切腹は武士…
書評 - 『涙の歴史』(藤原書店)山折 哲雄
「啓蒙」から「ロマン」へ変貌私は山本周五郎と藤沢周平のファンである。その小説の主人公たちが流す涙に心をゆさぶられるようになってから、どのく…
書評 - 『人びとのアジア―民際学の視座から』(岩波書店)山折 哲雄
一貫する「脱欧入亜」のすすめ「儒教とアジア・ニーズ経済圏」「漢字文化圏」「アジア・太平洋地域」といった言葉があらわれては消え、消えてはあら…
書評 - 『鹿の王―菩薩本生譚』(河出書房新社)山折 哲雄
倒れていた男へ深い眼差し単純なことをいえば、三十歳で殺されたイエスの生涯は劇や小説に仕立てやすい。だが八十歳で大往生をとげたシャカの人生は…
書評 - 『彷徨のまなざし―宮本常一の旅と学問』(明石書店)山折 哲雄
本書の主人公、宮本常一は、今日の民俗学の水準からは想像もできないような破天荒の民俗学者であった。終生、日本列島のすみずみを歩き通し、ほとん…
書評 - 『鳥獣戯語―いまは昔むかしは今』(福音館書店)山折 哲雄
見事な構成、昔話の世界解読思いっきり手間ひまかけた、ぜいたくこの上ない本づくりの試みである。司令塔には歴史と国文と美術のただならぬエキスパ…
書評 - 『黄落』(新潮社)山折 哲雄
親子老醜の中に一条の輝き老いの姿を虫眼鏡に映したり、望遠レンズで眺めたりすると、この作品に描きだされるような人間模様が浮かびあがってくるに…
書評 - 『マーガレット・ミードとサモア』(みすず書房)山折 哲雄
人類学の名作を撃つ文化人類学の分野で一世を風靡(ふうび)した「名作」が、実際にフタをあけてみると夢のような「神話」だったというお話である。…
書評 - 『大仏再建―中世民衆の熱狂』(講談社)山折 哲雄
重源と時代の激動描き出すパリのエッフェル塔、ニューヨークの自由の女神に匹敵する構築物を日本国内に探すとすれば、それは東京タワーなどではない…
書評 - 『世阿弥は天才である―能と出会うための一種の手引書』(草思社)山折 哲雄
鋭い作品分析、人物像に迫る。世阿弥を天才と称するのは誰にでもできるだろう。だが彼が天才であることを証明するのは、容易なことではない。ところ…
書評 - 『仏と霊の人類学―仏教文化の深層構造』(春秋社)山折 哲雄
「死ねばホトケ」信仰の奥にインドの民主主義とアメリカの民主主義が違うように、インドの仏教と日本の仏教もその性格を大きく異にしている。この至…
書評 - 『江戸時代とはなにか―日本史上の近世と近代』(岩波書店)山折 哲雄
日本史二分した「役」の体系江戸時代を、日本史の枠組みだけでなく、世界史的展望のなかで浮かびあがらせた、胸のすくような作品だ。今日いわゆる江…
書評