- 『亡き人へのレクイエム』(みすず書房)原 武史
生死を超え親しく言葉交わす同じ電車に乗り合わせた客たちとは、同じ時間を生きている。だがそのうちの一人として名前すら知らない。逆に愛読してい…
書評 - 『名婦列伝』(論創社)原 武史
神話・伝説も含め大がかりに室町時代の学者、一条兼良は日野富子のために書いた「樵談治要(しょうだんちよう)」で、日本を「女のおさむべき国」と…
書評 - 『いわさきちひろ 子どもへの愛に生きて』(講談社)原 武史
賢治の言葉で共産主義に共鳴1946年1月、長野県の松本で日本共産党の演説会が行われた。民主主義について語る弁士の演説を、フレアスカートを着てつ…
書評 - 『のこった もう、相撲ファンを引退しない』(ころから株式会社)原 武史
力士の見事な技にこそ拍手をかつて、琉王という沖縄出身の力士がいた。1972年の沖縄返還後もしこ名を改めず、琉球の王を自称し続けた。幕内の下位に…
書評 - 『ウルトラセブンの帰還』(双葉社)原 武史
試行錯誤繰り返し、時代刻む学生運動やベトナム反戦運動が高揚しつつあった1967年10月から68年9月にかけて、毎週日曜日に49回放送された子供向けの…
書評 - 『新宗教と総力戦―教祖以後を生きる―』(名古屋大学出版会)原 武史
天理教と国家の関係をさぐる幕末以降、日本では新たな宗教が次々と起こった。本書が対象とする天理教もその一つであり、昭和初期には新宗教のなかで…
書評 - 『鉄道デザインの心 世にないものをつくる闘い』(日経BP社)原 武史
効率より空間と時間にこだわる水戸岡鋭治さんは鉄道のデザイナーとして有名だが、全国の鉄道に乗っているわけではない。京浜工業地帯を走るJR鶴見線…
書評 - 『雪の階』(中央公論新社)原 武史
二・二六前夜、重大な事実知る天之御中主と書いてアメノミナカヌシと読む。『古事記』で一番はじめに出てくる神のことだ。二・二六事件が起こったの…
書評 - 『老いぼれ記者魂: 青山学院春木教授事件四十五年目の結末』(幻戯書房)原 武史
電話番号突きとめついに直接…人生の終わりが近づきつつある。最後に何をなすべきか――。こう自問した早瀬圭一の前に、改めて毎日新聞の記者だった時…
書評 - 『100分de名著 松本清張スペシャル 2018年3月』(NHK出版)原 武史
昭和史の闇を照らす松本清張が作家デビューしたのは一九五〇(昭和二十五)年、四十一歳のときです。以来、八十二歳で亡くなるまでの四十余年に、長…
前書き - 『バテレンの世紀』(新潮社)原 武史
現代史の謎にも貴重な示唆『昭和天皇実録』第十によれば、昭和天皇は1946年7月から8月にかけて、宮内省御用掛の木下道雄を出張させ、「九州における…
書評 - 『日本鉄道歌謡史 1――鉄道開業~第二次世界大戦』(みすず書房)原 武史
国土意識を形成、民衆の声も代弁キューロクが9600形蒸気機関車の愛称であることを知っている人は、よほどのマニアだろう。本書の冒頭で、著者は八高…
書評 - 『下山事件 暗殺者たちの夏』(祥伝社)原 武史
昭和史最大の謎、執着する覚悟1949年7月5日に初代国鉄総裁の下山定則が行方不明となり、6日に遺体が発見された「下山事件」は、昭和史最大の謎の事…
書評 - 『生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後』(岩波書店)原 武史
父が息子に託す、希望こそが指針小熊英二という人はどこまでも前向きだ。3・11のあとに反原発デモが高まり、一時は官邸前に20万人が集まったのに、2…
書評 - 『終戦詔書と日本政治 - 義命と時運の相克』(中央公論新社)原 武史
玉音放送の草稿修正箇所に注目1945年8月15日の玉音放送は、天皇自身が詔書を読み上げることで儒教的な「天子」として振る舞おうとするものだった。…
書評 - 『権力の空間/空間の権力 個人と国家の〈あいだ〉を設計せよ』(講談社)原 武史
建築家が読む斬新なアレント政治というのは抽象的な思考に回収されない。そうではなく、複数の人間が共生するための実践行為である以上、必ず具体的…
書評 - 『界』(文藝春秋)原 武史
人間の複雑怪奇、浮かび上がる例えば、「市民」という政治学の用語がある。男だろうが女だろうが市民は市民であり、そこに違いがあってはならないは…
書評 - 『宗教と政治の転轍点 保守合同と政教一致の宗教社会学』(花伝社)原 武史
政党作る団体に切り込む行動力泡沫(ほうまつ)候補という言葉がある。選挙で当選する見込みがきわめて薄い候補者のことだ。彼らは、たとえ一時的に…
書評 - 『遊楽としての近世天皇即位式』(ミネルヴァ書房)原 武史
「広場」に変貌した御所の南庭江戸時代の天皇は幕府の厳重な管理のもとに置かれ、京都御所に事実上幽閉されていて、生身の姿を一般庶民にさらすこと…
書評 - 『西太后秘録 近代中国の創始者』(講談社)原 武史
「悪役」の像崩し、人間性浮き彫り20世紀初頭までの中国の歴史のなかで、女性が皇帝となったのは武則天(則天武后)しかいない。だが、19世紀から20…
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