- 『狗賓(ぐひん)童子の島』(小学館)原 武史
「辺境」から見たもう一つの維新隠岐に島後(どうご)と呼ばれる円形の島がある。古来、流人の島と呼ばれたこの島に、大坂近郊の河内(かわち)から…
書評 - 『台湾の歓び』(岩波書店)原 武史
自由を最大限与えてくれた土地還暦になったとき、四方田犬彦は一つの決断をした。大学を辞め、日本から、いや国家そのものからしばらく離れることで…
書評 - 『公会堂と民衆の近代: 歴史が演出された舞台空間』(東京大学出版会)原 武史
政治集会や娯楽でつくる「公」明治以降の日本では、天皇を中心とする政治体制が確立される一方、公園、広場、図書館、駅など、不特定多数の見知らぬ…
書評 - 『折口信夫』(講談社)原 武史
画期的な天皇論、新資料交え分析総索引が付いた全集ばかりか講義録まで完備している。個人の思想を研究するのに、一見これほど恵まれた環境はない。…
書評 - 『病いの共同体: ハンセン病療養所における患者文化の生成と変容』(新曜社)原 武史
「みんな」に奉仕する自治会西武池袋線と西武新宿線にはさまれた東京都の西東京市から東村山市にかけての一帯には、独特の風景が広がっている。関東…
書評 - 『いとの森の家』(ポプラ社)原 武史
伝説に出会い成長を遂げる少女福岡市内の団地に住んでいた小学4年生の主人公が、父の決断で郊外の糸島半島の丘の上に建てられた一戸建てに引っ越し…
書評 - 『孝謙・称徳天皇:出家しても政を行ふに豈障らず』(ミネルヴァ書房)原 武史
制度変革試みた大胆な女性天皇東京・大手町にある和気清麻呂(わけのきよまろ)像は、紀元2600年に当たる1940年に建てられ、「万世一系」の天皇の血…
書評 - 『どろにやいと』(講談社)原 武史
山里で怪しげな男女に出会い…森敦『月山』、太宰治『津軽』、井上ひさし『吉里吉里人』など、東北を舞台にした小説は多い。本書もまた、地名をタイ…
書評 - 『マラソンと日本人』(朝日新聞出版)原 武史
明治以来の「走る」異端児たちマラソンと駅伝。どちらも日本人には人気の高いスポーツである。前者は明治末期から、後者は大正期から国内で大会が開…
書評 - 『〈女帝〉の日本史』(NHK出版)原 武史
あとがきこのところ、日本では女性の政治家に関する話題が連日のようにテレビのニュースやワイドショーなどをにぎわしています。しかしその多くは、…
後書き - 『1969―新宿西口地下広場』(新宿書房)原 武史
迫る「広場の政治」の高揚感日本では諸外国と異なり、首都に「広場」と名のつく空間が少ない。有名な広場といえば、皇居前広場と新宿西口地下広場ぐ…
書評 - 『明治の表象空間』(新潮社)原 武史
時代の言説を横断的に俯瞰例えば、福沢諭吉の専門家が樋口一葉の小説にも精通しているというのは考えにくい。日本の学問体系では前者が政治学や歴史…
書評 - 『儒学殺人事件 堀田正俊と徳川綱吉』(講談社)原 武史
学説めぐる闘争、大胆に描くNHKで放映された韓国の歴史ドラマ「トンイ」では、臣下の官僚が朝鮮国王の粛宗(スクチョン)を諫(いさ)める場面が出…
書評 - 『東京自叙伝』(集英社)原 武史
「地霊」が語る都市の根本原理通常、私たちは東京に住んでいるという言い方をする。多くの人間が集まることで東京という都市ができているのであり、…
書評 - 『江戸・東京の都市史: 近代移行期の都市・建築・社会』(東京大学出版会)原 武史
地図や図面からあぶり出す歴史明治維新によって、京都にいた天皇は東京に移動し、将軍がいなくなった江戸城は東京城、そして皇城と改称され、東京遷…
書評 - 『JR上野駅公園口』(河出書房新社)原 武史
排除される側も巻き込む天皇制その男の人生に、天皇や皇后は大きな影を落としていた。そもそも生まれたのが現天皇と同じ昭和8年。妻の名は貞明皇后…
書評 - 『半自叙伝』(河出書房新社)原 武史
幼年との往復、積み重なる記憶人は生き続ける限り、心の奥深くにいくつもの記憶を少しずつ積み重ねる。それらの記憶は、たいてい年齢を経るごとに移…
書評 - 『市川房枝と「大東亜戦争」: フェミニストは戦争をどう生きたか』(法政大学出版局)原 武史
過去をあとづけ、「可能性」に注目1962年生まれの私にとって、市川房枝といえば参院選の政見放送で見た、眼鏡をかけた白髪の女性が浮かんでくる。市…
書評 - 『線路はつながった: 三陸鉄道 復興の始発駅』(新潮社)原 武史
無数の声に耳傾ける民主主義今日(4月6日)、三陸鉄道北リアス線の小本―田野畑間が開通する。昨日、南リアス線の吉浜―釜石間が開通したのに続いてこ…
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