書評
『床下仙人』(祥伝社)
郊外に購入した家から2時間近くかけて通勤、仕事に追われる日々の“おれ”。「この家には何かいる」との妻の訴えも相手にしていなかったが、ある晩、自宅の洗面所で歯を磨く仙人のような男を目撃する……。
表題作をはじめ、仕事人間への風刺が並ぶこの短編集は、99年に単行本が刊行され、01年に文庫化。今年になって本書を読んだ有隣堂ルミネ町田店の書店員が惚(ほ)れ込み、店頭にPOPを掲げたところ、すぐ売り切れに。版元に熱心に掛け合い、文庫化から実に6年たって増刷が決定。他の店舗でも宣伝を展開、今や2週間に一度増刷するペースだ(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2007年12月)。啓文堂書店でも、書店員が選んだ候補作を一般客が購買・投票した「おすすめ文庫大賞」で1位となり、現在全店でキャンペーン中。同じ著者の最新刊『天下り酒場』(祥伝社文庫)もすぐ重版に。
ナンセンス全開の作風はコメディーともSFともくくることができず、「新奇想小説」と銘打たれている。「以前はジャンルが特定できない本は売れなかったため、苦し紛れにつけました。もちろん、中身の面白さには自信があった。最近、森見登美彦さんや万城目学さんら奇抜な着想で読ませる作家にファンがつき、こうした作品が読まれる下地ができてきた」と、担当者の山田剛史さん。
よく見かける光景の中に非現実が紛れ込み、意外なところへ着地する展開が愉快。皮肉をきかせながらも後味は悪くなく、ホロリとすることも。読者層はサラリーマン男性かと思いきや、20〜40代の女性が大半だとか。主人公たちに共感するのは、バリバリ仕事している女性たちかも。
表題作をはじめ、仕事人間への風刺が並ぶこの短編集は、99年に単行本が刊行され、01年に文庫化。今年になって本書を読んだ有隣堂ルミネ町田店の書店員が惚(ほ)れ込み、店頭にPOPを掲げたところ、すぐ売り切れに。版元に熱心に掛け合い、文庫化から実に6年たって増刷が決定。他の店舗でも宣伝を展開、今や2週間に一度増刷するペースだ(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2007年12月)。啓文堂書店でも、書店員が選んだ候補作を一般客が購買・投票した「おすすめ文庫大賞」で1位となり、現在全店でキャンペーン中。同じ著者の最新刊『天下り酒場』(祥伝社文庫)もすぐ重版に。
ナンセンス全開の作風はコメディーともSFともくくることができず、「新奇想小説」と銘打たれている。「以前はジャンルが特定できない本は売れなかったため、苦し紛れにつけました。もちろん、中身の面白さには自信があった。最近、森見登美彦さんや万城目学さんら奇抜な着想で読ませる作家にファンがつき、こうした作品が読まれる下地ができてきた」と、担当者の山田剛史さん。
よく見かける光景の中に非現実が紛れ込み、意外なところへ着地する展開が愉快。皮肉をきかせながらも後味は悪くなく、ホロリとすることも。読者層はサラリーマン男性かと思いきや、20〜40代の女性が大半だとか。主人公たちに共感するのは、バリバリ仕事している女性たちかも。
朝日新聞 2007年12月16日
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