書評
『ショートソング』(集英社)
女性とつきあったことのない美青年大学生・克夫と、遊び人の天才歌人・伊賀。対照的な2人の恋と短歌道が交互に語られる、吉祥寺が舞台の青春小説。携帯サイトの連載をまとめた本書は、歌人の枡野浩一さんの初の小説作品。「『ショートソング』とは短歌の直訳(笑い)。若い人が短歌入門として読めるものにしたくて、あえて漫画風な展開を考えました。自作や、ネットで募集して選んだ傑作短歌を、主人公たちが詠む歌として登場させていて、歌に合わせてストーリーを作った部分もあります」と枡野さん。
男子2人が恋と自意識に悶々(もんもん)とする姿が滑稽(こっけい)であり、可愛くもある。「無理してる自分の無理も自分だと思う自分も無理する自分」など、随所に挿入される短歌と主人公たちの心情も絶妙にマッチ。恋の歌が中心で、案外下ネタも多い。「短歌が難しいものではない、ということが伝わる小説。テンポよく視点が切り替わるので、小説を読みなれていない人でも楽しむことができる」と、担当編集者の伊藤亮さん。安価な文庫にし、カバーイラストには若者に人気の中村佑介さんを起用、オビには劇団「大人計画」の宮藤官九郎さんの歌を載せ、短歌ファン以外も引き寄せた。読者層は男女半々で、「はじめて読んだ本です」「自分も短歌を作りたくなりました」と、狙い通り若い読者からの反響が。
昨年の夏、吉祥寺の3書店が合同で書店員おすすめの文庫のフェア「ナツヨミ文庫カーニバル」を開催したところ、本書が全店で売り上げトップの「三冠王」に輝いた。実在のカフェが多数登場し、ご当地小説としても楽しめる。
男子2人が恋と自意識に悶々(もんもん)とする姿が滑稽(こっけい)であり、可愛くもある。「無理してる自分の無理も自分だと思う自分も無理する自分」など、随所に挿入される短歌と主人公たちの心情も絶妙にマッチ。恋の歌が中心で、案外下ネタも多い。「短歌が難しいものではない、ということが伝わる小説。テンポよく視点が切り替わるので、小説を読みなれていない人でも楽しむことができる」と、担当編集者の伊藤亮さん。安価な文庫にし、カバーイラストには若者に人気の中村佑介さんを起用、オビには劇団「大人計画」の宮藤官九郎さんの歌を載せ、短歌ファン以外も引き寄せた。読者層は男女半々で、「はじめて読んだ本です」「自分も短歌を作りたくなりました」と、狙い通り若い読者からの反響が。
昨年の夏、吉祥寺の3書店が合同で書店員おすすめの文庫のフェア「ナツヨミ文庫カーニバル」を開催したところ、本書が全店で売り上げトップの「三冠王」に輝いた。実在のカフェが多数登場し、ご当地小説としても楽しめる。
朝日新聞 2008年01月06日
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