書評
『レニ・リーフェンシュタール 20世紀映像論のために』(晶文社)
レニ・リーフェンシュタールは二十世紀の興味深い人物の一人である、記録映画『オリンピア』などの監督としてヨーロッパ以外でもその名が広く知られている。戦後ナチス協力の問題で激しく批判されながらも、恐るべき精神力と強靭な体力で自ら新しい活躍の場を切り開いた。百歳近い高齢にもかかわらず、いまもなお海中の映像をとり続けている(その後彼女は二〇〇三年、享年百三歳で没した)。
本書ではその伝奇的な生涯を紹介した上、彼女が撮った映像の美しさについて画面ごとに詳細な検証が行われた。丁寧な読みと、文化コンテクストとの関連性を解明することを通して、その魅力的で、インパクトのある映像に対する新たな解釈が示された。
リーフェンシュタールが撮った映画はナチスを美化するプロパガンダか、それとも政治的意味を超えて普遍的芸術性を持つかについて、これまで議論が戦わされてきた。著者はナチス宣伝の側面を批判しながら、作品の芸術性を肯定するという立場をも超えて、彼女の映像美の持つ文化的意味を現代芸術の問題として捉え直した。
【この書評が収録されている書籍】
本書ではその伝奇的な生涯を紹介した上、彼女が撮った映像の美しさについて画面ごとに詳細な検証が行われた。丁寧な読みと、文化コンテクストとの関連性を解明することを通して、その魅力的で、インパクトのある映像に対する新たな解釈が示された。
リーフェンシュタールが撮った映画はナチスを美化するプロパガンダか、それとも政治的意味を超えて普遍的芸術性を持つかについて、これまで議論が戦わされてきた。著者はナチス宣伝の側面を批判しながら、作品の芸術性を肯定するという立場をも超えて、彼女の映像美の持つ文化的意味を現代芸術の問題として捉え直した。
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