書評

『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』(早川書房)

  • 2017/10/16
ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女   / ダヴィド・ラーゲルクランツ
ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女
  • 著者:ダヴィド・ラーゲルクランツ
  • 翻訳:ヘレンハルメ 美穂,羽根 由
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(409ページ)
  • 発売日:2017-09-05
  • ISBN-10:4151830014
  • ISBN-13:978-4151830013
内容紹介:
人工知能の専門家に関わるスクープを狙うミカエルは、リスベットの存在を事件の背後に感じ取っていた……。待望のシリーズ最新刊

亡くなった著者から引き継ぐ待望の最新作

本書の中心を成す人物リスベット・サランデルは、ミステリー史上最強のヒロインのひとりである。小柄で細身なのに、格闘に秀で、意志も強く、銃の扱いもコンピューターの扱いも世界一の腕前。サイバー攻撃などという小手先の技など使わず、大事なデータは秘密裏にごっそりいただき、どんな暗号をも解く天才であり、決して諦めない復讐(ふくしゆう)の鬼でもある。

要するにめっぽう強くてかっこいいのだ。とはいえ、リスベットには最強の女性にならざるを得ない理由があった。幼年期から少女期にかけての彼女の人生を知りたい方は『ミレニアム1』から読んで、本書に突入していただきたい。世の多くの女性は、胸のすくような彼女の活躍を描いた『ミレニアム』シリーズを読むべきだとわたしは思っている。興奮と感動を味わえること請け合いだ。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女   / スティーグ・ラーソン
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女
  • 著者:スティーグ・ラーソン
  • 翻訳:ヘレンハルメ 美穂,岩澤 雅利
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(406ページ)
  • 発売日:2011-09-08
  • ISBN-10:4151792511
  • ISBN-13:978-4151792519
内容紹介:
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。そんな折り、大企業グループの前会長ヘ… もっと読む
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。そんな折り、大企業グループの前会長ヘンリックから依頼を受ける。およそ40年前、彼の一族が住む孤島で兄の孫娘ハリエットが失踪した事件を調査してほしいというのだ。解決すれば、大物実業家を破滅させる証拠を渡すという。ミカエルは受諾し、困難な調査を開始する。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

タイトルの「ミレニアム」とは、世の中の不正義と闘う硬派な雑誌で、そこの取材記者であり経営者であるミカエルを中心に物語は展開していく。本来の主人公はこのミカエルなのだ。そして本書には人工知能研究において天才といわれる研究者が登場する。

最近スウェーデンに帰ってきたこの研究者は、離婚して親権を失った息子の危機を察知し、その継父から息子を奪いとる。8歳の息子は重度の自閉症だが、非常に珍しい能力が備わっていた。そのために、大手企業のデータをめぐって命を狙われている研究者とともに、その息子も命を狙われるようになる。コンピューター上でやりとりされるメッセージを介してしか繋(つな)がりを持たないリスベットが、どのように自閉症の少年と心を通わせていくかも本書の見どころである。

本来5まで続くシリーズが、著者スティーグ・ラーソンの突然の死で中断した。今回、新たな著者を得て4が発表された。
ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女   / ダヴィド・ラーゲルクランツ
ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女
  • 著者:ダヴィド・ラーゲルクランツ
  • 翻訳:ヘレンハルメ 美穂,羽根 由
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(409ページ)
  • 発売日:2017-09-05
  • ISBN-10:4151830014
  • ISBN-13:978-4151830013
内容紹介:
人工知能の専門家に関わるスクープを狙うミカエルは、リスベットの存在を事件の背後に感じ取っていた……。待望のシリーズ最新刊

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ

初出メディア

サンデー毎日

サンデー毎日 2016年2月21日

関連記事
古屋 美登里の書評/解説/選評
ページトップへ