書評

『クリスチャン・ボルタンスキー―死者のモニュメント』(水声社)

  • 2017/11/20
クリスチャン・ボルタンスキー―死者のモニュメント / 湯沢 英彦
クリスチャン・ボルタンスキー―死者のモニュメント
  • 著者:湯沢 英彦
  • 出版社:水声社
  • 装丁:単行本(328ページ)
  • ISBN:4891765194
内容紹介:
写真や古着、電球やビスケット缶を用いたインスタレーションで、つねに"名もなき者たち"の記憶の可能性を問いつづけてきたフランスの美術家をめぐる初の本格的モノグラフィー。21世紀の"私たち"の"記憶"は、"モニュメント"に託せるだろうか。
幼いときに使っていた私物の数々から始まり、家族アルバム、殺害死体の写真カード、ランプに囲まれた死者の生前の写真、そして遺品を入れた衣裳(いしょう)缶や無数の古着の陳列と、<死>とその記憶の消失をめぐって、制作を続けてきた美術家ボルタンスキーについての、はじめての評伝であり、解釈である。

消失したものをめぐって「甘い匂(にお)いを焚(た)き込める」コーネルとも、「<加害者>の息子」の位置に立つキーファーとも違ったかたちで、<死>の記憶の消失と向きあってきたボルタンスキーは、「もはや誰も思い出せないことを証拠立てるための逆立ちしたモニュメント」を作りつづけてきたのだと、著者はいう。

ボルタンスキーからすれば、時代のコンテクストを切って物を羅列する博物館にこそ「忘却の匂い」が蔓延(まんえん)しており、彼の作品はむしろ「喪失を共にするように促す」ものだ、と。<死>が見えにくくなった現代を問う力作だ。
クリスチャン・ボルタンスキー―死者のモニュメント / 湯沢 英彦
クリスチャン・ボルタンスキー―死者のモニュメント
  • 著者:湯沢 英彦
  • 出版社:水声社
  • 装丁:単行本(328ページ)
  • ISBN:4891765194
内容紹介:
写真や古着、電球やビスケット缶を用いたインスタレーションで、つねに"名もなき者たち"の記憶の可能性を問いつづけてきたフランスの美術家をめぐる初の本格的モノグラフィー。21世紀の"私たち"の"記憶"は、"モニュメント"に託せるだろうか。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2004年11月14日

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