選評

『評伝 北一輝 I - 若き北一輝』(中央公論新社)

  • 2018/01/29
評伝 北一輝 I - 若き北一輝  / 松本 健一
評伝 北一輝 I - 若き北一輝
  • 著者:松本 健一
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:文庫(389ページ)
  • 発売日:2014-07-23
  • ISBN:4122059852
内容紹介:
日本近代史上最も危険な革命思想家、北一輝。その特異な人間像と強靭な精神を描き切る全五巻。近代日本の思想のドラマに向き合ってきた著者による圧倒的な達成。本巻では、北の生い立ち、思想形成が佐渡の生々しい歴史と風土、濃密な人間関係の中に立ち現れる。天皇制国家と社会主義を連結する浪漫的革命家はいかに生まれたか。毎日出版文化賞受賞。

司馬遼太郎賞(第8回)

受賞者=松本健一/他の選考委員=陳舜臣、ドナルド・キーン、柳田邦男、青木彰/主催=司馬遼太郎記念財団/発表=「遼」二〇〇五年冬季号

怪人物の謎が解けた

北一輝という人物は、私にはどうにも正体のつかめない怪人物であり、昭和史最大の謎でした。ところが『評伝 北一輝』を、その冷静で平明な文章に導かれて読み進むうちに、謎がきれいに解けると同時に、北一輝という人物がはっきりと目の前に立ち現れてきました。極端な国家主義と社会主義とが一緒になると、最後は天皇さえ使うという革命理論が誕生するわけですが、その思想性と人間性が自分なりに理解できて、長年のしこりが解けたような気がします。

彼に影響を受けた青年将校が一種の革命を断行したときの、軍上層部の阿呆さ加減と無責任さもよくわかったし、司馬先生が書かれた「鬼胎の時代」の生まれていく経過もよくわかりました。

ひとりの文筆家、思想家が生涯をかけ、精魂を込めたお仕事だという感動も伝わってきました。

作品賞であり業績賞であるという司馬賞の広さを一つの作品がカバーしてしまった、見事な結果になりました。

【この選評が収録されている書籍】
井上ひさし全選評 / 井上 ひさし
井上ひさし全選評
  • 著者:井上 ひさし
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(821ページ)
  • ISBN:4560080380
内容紹介:
2009年までの36年間、延べ370余にわたる選考会に出席。白熱の全選評が浮き彫りにする、文学・演劇の新たな成果。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

評伝 北一輝 I - 若き北一輝  / 松本 健一
評伝 北一輝 I - 若き北一輝
  • 著者:松本 健一
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:文庫(389ページ)
  • 発売日:2014-07-23
  • ISBN:4122059852
内容紹介:
日本近代史上最も危険な革命思想家、北一輝。その特異な人間像と強靭な精神を描き切る全五巻。近代日本の思想のドラマに向き合ってきた著者による圧倒的な達成。本巻では、北の生い立ち、思想形成が佐渡の生々しい歴史と風土、濃密な人間関係の中に立ち現れる。天皇制国家と社会主義を連結する浪漫的革命家はいかに生まれたか。毎日出版文化賞受賞。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

遼

遼 2005年冬季号

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