書評

『赤の他人の瓜二つ』(講談社)

  • 2018/01/02
赤の他人の瓜二つ  / 磯崎 憲一郎
赤の他人の瓜二つ
  • 著者:磯崎 憲一郎
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(224ページ)
  • 発売日:2014-11-14
  • ISBN-10:4062779196
  • ISBN-13:978-4062779197
内容紹介:
各紙誌に「物語ることの限界に挑み、小説の未知なる可能性を示した」と絶賛された、芥川賞作家の傑作!

【名著 味読・再読】”純文学”の愉しみ

エンターテインメント小説ならたまには読むという人は多い。ところが、純文学作品となると、その時々に話題になった芥川賞受賞作を読む程度で、めったに手を伸ばさないのではないか。著者の小説にしても、芥川賞受賞作(「終の住処」)を読んだことがある人は少なくないだろうが、本書はさらに素晴らしい。

純文学は、そもそも脳で「分かろう」とするものではない。小説世界に身を浸し、体で感じるものだ。時間と空間を縦横無尽に飛び越えていく不思議。小説という形式でしか味わえない極上体験。絶対に映画化できない。文字通りの文芸である。「分かる」「説明できる」ことに明け暮れているビジネスパーソンにこそ読んでもらいたい。精神的快感が日々の生活の滋養になる。
赤の他人の瓜二つ  / 磯崎 憲一郎
赤の他人の瓜二つ
  • 著者:磯崎 憲一郎
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(224ページ)
  • 発売日:2014-11-14
  • ISBN-10:4062779196
  • ISBN-13:978-4062779197
内容紹介:
各紙誌に「物語ることの限界に挑み、小説の未知なる可能性を示した」と絶賛された、芥川賞作家の傑作!

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初出メディア

週刊ダイヤモンド

週刊ダイヤモンド 2015年10月31日

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