書評

『PK ~最も簡単なはずのゴールはなぜ決まらないのか?~』(カンゼン)

  • 2018/06/17
PK ~最も簡単なはずのゴールはなぜ決まらないのか?~ / ベン・リトルトン
PK ~最も簡単なはずのゴールはなぜ決まらないのか?~
  • 著者:ベン・リトルトン
  • 翻訳:実川 元子
  • 出版社:カンゼン
  • 装丁:単行本(416ページ)
  • 発売日:2015-12-17
  • ISBN-10:486255315X
  • ISBN-13:978-4862553157
内容紹介:
PKはサッカーにおいて恐らく最も簡単に奪えるゴールである。ゴールラインからわずか12ヤード(11メートル)のペナルティスポットから、静止したボールを蹴るだけだ。ところが、考案されてから120年以上が経つPKの歴史には、数々のドラマが生まれ、ミスによって流された涙は川になるほどだ。簡単なは… もっと読む
PKはサッカーにおいて恐らく最も簡単に奪えるゴールである。
ゴールラインからわずか12ヤード(11メートル)のペナルティスポットから、静止したボールを蹴るだけだ。
ところが、考案されてから120年以上が経つPKの歴史には、数々のドラマが生まれ、ミスによって流された涙は川になるほどだ。
簡単なはずのPKがなぜとんでもなくむずかしくなってしまうのか?
PKに成功する秘訣とはいったい何だろう?

その答えを求めて本書の著者ベン・リトルトンは世界中を駆け巡った。
試合中のPKとPK戦を詳細に分析した学者に会い、PKに強い選手とセーブ率の高いGKに食い下がって彼らの業務秘密を聞き出し、プレッシャーがかかるPK戦において選手が影響を受ける身体的、心理的な要素を専門家に取材した。

ときには自ら実験台になって、教えられた秘訣を試してみるところまでやってのけた。

本書はPKをスポーツ、科学と文化史などさまざまな側面から考察した画期的な著書である。
本書を一読すれば、サッカー関係者は長年頭を悩ませてきた「どうすればPKに強くなれるか?」という命題の回答がきっと見つかるだろう。

一人と一人が対峙する鬼気迫る瞬間の記録

PK。ゴールキーパーからは12ヤードしか離れていない至近距離から放つシュート。だが、意外と決まらないこともある。自分の利き足にとって自然な方向(たとえば 、右利きの人は左側に蹴る)に必ず蹴る人もいれば、あれこれ考え込んで真ん中に蹴る人もいる。とにかく、PKは独特だし、元日本代表監督のイビチャ・オシム氏は、P K戦になったらピッチサイドから姿を消したと記憶する。

さて、この本では、歴史上、さまざまな物議をかもしてきたPKが俎上(そじょう)にのせられている。それだけではなく、科学的分析による成功確率、国民性による向き不向きなど、およそ考えられる限りのPK議論を網羅しているのだ。

わが愛する、元フランス代表のジネディーヌ・ジダンが必ずゴール左のサイドネット目がけてPKを蹴ったことなど、さまざま言及したいことはあるが、ひとつだけ。2010年南アフリカワールドカップ準々決勝、ガーナとウルグアイの試合。1−1の緊迫した試合の終了直前、ガーナの選手のヘディングがほとんどウルグアイのゴールに吸い込まれそうになった。ゴールキーパーを越えていた。だが、ゴールライン上でウルグアイのフォワードのルイス・スアレスが飛んできたボールを手でたたき落とし、得点を許さなかった。もちろんスアレスは退場処分になり、ガーナにPKが与えられた。ガーナのギャンという選手は力いっぱい蹴って、ゴールをはずした……。

PKはサッカーではないという人もいる。そう思う半面、PKにはすべての要素を削(そ)ぎ落とした果てに表れる一対一の勇気と駆け引きがある。シュートをはずして、「神様、俺は死にました」と呟(つぶや)きながらピッチを歩く選手の流す涙には、PKの残酷さと歴史が刻まれている。
PK ~最も簡単なはずのゴールはなぜ決まらないのか?~ / ベン・リトルトン
PK ~最も簡単なはずのゴールはなぜ決まらないのか?~
  • 著者:ベン・リトルトン
  • 翻訳:実川 元子
  • 出版社:カンゼン
  • 装丁:単行本(416ページ)
  • 発売日:2015-12-17
  • ISBN-10:486255315X
  • ISBN-13:978-4862553157
内容紹介:
PKはサッカーにおいて恐らく最も簡単に奪えるゴールである。ゴールラインからわずか12ヤード(11メートル)のペナルティスポットから、静止したボールを蹴るだけだ。ところが、考案されてから120年以上が経つPKの歴史には、数々のドラマが生まれ、ミスによって流された涙は川になるほどだ。簡単なは… もっと読む
PKはサッカーにおいて恐らく最も簡単に奪えるゴールである。
ゴールラインからわずか12ヤード(11メートル)のペナルティスポットから、静止したボールを蹴るだけだ。
ところが、考案されてから120年以上が経つPKの歴史には、数々のドラマが生まれ、ミスによって流された涙は川になるほどだ。
簡単なはずのPKがなぜとんでもなくむずかしくなってしまうのか?
PKに成功する秘訣とはいったい何だろう?

その答えを求めて本書の著者ベン・リトルトンは世界中を駆け巡った。
試合中のPKとPK戦を詳細に分析した学者に会い、PKに強い選手とセーブ率の高いGKに食い下がって彼らの業務秘密を聞き出し、プレッシャーがかかるPK戦において選手が影響を受ける身体的、心理的な要素を専門家に取材した。

ときには自ら実験台になって、教えられた秘訣を試してみるところまでやってのけた。

本書はPKをスポーツ、科学と文化史などさまざまな側面から考察した画期的な著書である。
本書を一読すれば、サッカー関係者は長年頭を悩ませてきた「どうすればPKに強くなれるか?」という命題の回答がきっと見つかるだろう。

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サンデー毎日

サンデー毎日 2016年3月27日

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