書評

『ONCE UPON A TIME』(本の雑誌社)

  • 2018/11/06
ONCE UPON A TIME / 椎名 誠
ONCE UPON A TIME
  • 著者:椎名 誠
  • 出版社:本の雑誌社
  • 装丁:大型本(80ページ)
  • 発売日:2006-11-07
  • ISBN:4860110625
内容紹介:
本書の原型となるものは2006年9月号の『アサヒカメラ』の本書と同タイトル「ONCE UPON A TIME」の特集で構成した8ページものである。一枚づつの写真にはそれぞれの「ものがたり」があり、それらを組み合わせることでまた違った新たな「ものがたり」が生まれてくるのではないか、という意図をこめて編集した。
写真による「ものがたり」を作りたかったのだ、と椎名誠さんは、まえがきに書いている。

一枚ずつの写真にはそれぞれの「ものがたり」があり、それらを組み合わせることでまた違った新たな「ものがたり」が生まれてくるのではないか、という意図をこめて編集した、と。

「ものがたり」のような文章が写真に添えられているのかというと、そうではない。

世界中のいろいろな所を旅行した椎名さんが、あちこちで撮ってきた写真が、組み合わされただけなのに、たしかに「ものがたり」がはじまってくる。

雪原をいっしんに走る犬がいる。小舟で川を行く少年がいる。土砂降りの雨の中を必死に傘をさして歩いている人がいる。

いつも笑っているような犬がわらいながら通りすぎる。きれいなレンズ雲が浮かんでいて、夜の雪景色に暖かい部屋の窓が二つ見える。

モンゴルの少女がうたうように踊るようにかろやかに馬を走らせている。

なつかしいような、せつないような「ものがたり」だ。

騎兵隊を岩山の上から眺めているアパッチ族のような犬。親子で家路につく三人。

モノクロの美しい階調が、ずっと昔、誰だか知らない人の撮った写真のようだ。

この写真集は、きっと何度も何度も繰り返してページを繰られる本になるだろう。そのたびに少しずつ「ものがたり」は作られて、その「ものがたり」の作り手である読者を、なぐさめる本になるだろう。
ONCE UPON A TIME / 椎名 誠
ONCE UPON A TIME
  • 著者:椎名 誠
  • 出版社:本の雑誌社
  • 装丁:大型本(80ページ)
  • 発売日:2006-11-07
  • ISBN:4860110625
内容紹介:
本書の原型となるものは2006年9月号の『アサヒカメラ』の本書と同タイトル「ONCE UPON A TIME」の特集で構成した8ページものである。一枚づつの写真にはそれぞれの「ものがたり」があり、それらを組み合わせることでまた違った新たな「ものがたり」が生まれてくるのではないか、という意図をこめて編集した。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2006年11月26日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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