地震と社会〈下〉
- 著者:外岡 秀俊
- 出版社:みすず書房
- 装丁:単行本(788ページ)
- 発売日:1998-07-24
- ISBN-10:4622036630
- ISBN-13:978-4622036630
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こうして、汗牛充棟という言葉を思い浮かべるほど、専門家による徹底した研究、記録作りが進められている中で、どのような専門分野についても門外漢である私が、敢えて検証作業の一角に加わりたいと考えたのには、三つの理由がある。
一つは、たまたま震災当日から現地に入り、その後断続はあったものの、約一年間にわたって被災地で継続取材をしてきた立場(いうまでもなく、外岡氏は朝日新聞の記者)から、被災者の側に立った検証を試みたいと考えたためだ……。
二つ目には、大正大震災がそうであったように、専門家による広範な研究がなされても、一般の人々にその教訓が伝わらなかったり、共有化されない事態が予想される。……素人の目と表現で整理してみること……。
三つ目の理由は、震災後、様々な人々や民間団体が発行した手記、報告書、記録、パンフレットなどを、できるだけ広く渉猟し、記録に留めたい、という思いがあった。
一九九五年一月十七日に起きた阪神大震災で、失われたものの一つに、谷崎潤一郎が描いた『細雪』の風光がある。