後書き

『山田宏一映画インタビュー集 映画はこうしてつくられる』(草思社)

  • 2019/09/27
山田宏一映画インタビュー集 映画はこうしてつくられる / 山田 宏一
山田宏一映画インタビュー集 映画はこうしてつくられる
  • 著者:山田 宏一
  • 出版社:草思社
  • 装丁:単行本(564ページ)
  • 発売日:2019-09-02
  • ISBN:479422401X
内容紹介:
ラウル・クタール、アンナ・カリーナからゴダール、サミュエル・フラーまで、19人の映画人を著者が「映画作りの秘密」について、真剣に、ときに親密に、機微にわたって聞き、採録された最高に面白いインタビュー。これは稀有な記録である。最初は1965年のパリで、まだ『男と女』の世界的ヒットで… もっと読む
ラウル・クタール、アンナ・カリーナからゴダール、サミュエル・フラーまで、
19人の映画人を著者が「映画作りの秘密」について、真剣に、ときに親密に、機微にわたって聞き、採録された
最高に面白いインタビュー。これは稀有な記録である。

最初は1965年のパリで、まだ『男と女』の世界的ヒットで有名になる前のクロード・ルルーシュに
オープンリールの小型テープレコーダーで制作会社の片隅を借りて取材したところから始まる。
それから50年ぐらい、日本に来た監督や俳優など、折をとらえてインタビューした数は何十人になるだろうか。
これはインタビューの名手として定評のある著者のインタビュー傑作選であり、一つの総括である。

各種雑誌や新聞、パンフレットに発表されたものが多いが、そのほとんどが今回、保存しておいたテープを
聞き直して、加筆し、捨てられていた一部を復活し、完全版にしたという。
すべてのインタビューの共通のテーマは、「あの映画はどうやって作ったの?」ということであり、
「映画とは何か」の本質へ、率直にストレートに向かっている。

とくに面白いのはジャン・ルノワールから戦後のフランソワ。トリュフォー、ジャン゠リュック・ゴダールに至る
フランス映画の歴史、移り変わり、人脈的つながりなどがさまざまなエピソードを通じて浮かび上がるところであり、
映画を中心とした社会的背景がよく見えてくる。19人を並べると以下のような名前である。

クロード・ルルーシュ(監督)/マルセル・カルネ(監督)/アラン・レネ(監督)/ジャン゠リュック・ゴダール(監督)/バルべ・シュレデール(監督)/ジャン゠ポール・ベルモンド(俳優)/アレクサンドル・トロ―ネル(美術)/ピエール・ブロンベルジェ(プロデュ―サー)/ルイ・マル(監督)/クロード・ミレール(監督)/サミュエル・フラー(監督)/イヴ・ロベール(監督)/サム・レヴァン(スチールマン、写真家)/ルネ・リシティグ(編集、修復)/シャルル・アズナヴール(歌手、俳優)/マドレーヌ・モルゲンステルヌ(プロデューサー)/キム・ノヴァク(女優)/アンナ・カリーナ(女優)/ラウル・クタール(キャメラマン)。

これはインタビューと称しているが、取材からテープ起こしまで細心に手作りされた著者の映画評論そのものと言っていい。
稀代の映画評論家である著者が、まったく無名の人(ルネ・リシティグ=修復・編集、サム・レヴァン=スチールマン・肖像写真家)などから高名なジャン゠リュック・ゴダール(監督)、キム・ノヴァク(ハリウッド女優)などまで、50年にわたって多彩な映画人に取材したインタビュー集。本書で明らかになるのは、『天井桟敷の人々』『勝手にしやがれ』などの名作が「どのようにして作られたか」であり、そこから「20世紀の映画史」が浮かび上がります。以下に、著者によるあとがきを掲載します。

映画は語る――後記に代えて

これは私の二冊目の映画インタビュー集です。一冊目の映画インタビュー集は「映画とは何か」(一九八八年、草思社刊)という大げさな標題になってしまったのですが、私としては単純に、ずばり、映画インタビューとは映画について語るのではない、映画が語るのだ、と言いたかったのです。今回もそのつづき、延長として「映画はこうしてつくられる」という題名にしました。「生きた映画史」の証言でもあるからです。

そもそもの発想は、映画ファンとして、映画にできるだけ近づきたい、できたら映画のなかに入りこみたいと思い、チャンスに恵まれるごとに映画人にインタビューを試みてきました。うまくいったこともあれば、うまくいかなかったこともある。というよりも、幸福なインタビューもあれば、不幸なインタビューもある――幸福な映画もあれば不幸な映画もあるように。しかし、すべてが映画そのものであることだけはたしかです。

一九六四年末から六七年半ばまでパリに滞在していたときのインタビューから、その後も取材などで何度か渡仏したときのインタビュー、そして来日した映画人のインタビューに至るまで、いろいろ、ほぼインタビューをした順番にまとめましたが、新聞や雑誌などに発表当時は当然、原稿の締め切りがあり、掲載枚数の制限もあって、「一部初出」がほとんどで(初出紙誌は単行本に採録した場合もふくめて、各インタビューの末尾に記しました)、今回、本書に収録するにあたって、残っていた録音テープを聴き直してあらたに採録もして、大幅に補充しました。

私にとっては、何冊かの映画評論集よりも重要な、心のこもった集成になります。

[書き手] 山田宏一(やまだ・こういち)

映画評論家。1938年、ジャカルタ生まれ。東京外国語大学フランス語科卒業。1964~1967年、パリ在住。その間「カイエ・デュ・シネマ」誌同人。1987年、フランスより芸術文化勲章シュバリエ受勲。1991年、第1回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞(『トリュフォー、ある映画的人生』に対して)。2007年、第5回文化庁映画賞(映画功労表彰部門)受賞。2017年、第35回川喜多賞受賞


山田宏一映画インタビュー集 映画はこうしてつくられる / 山田 宏一
山田宏一映画インタビュー集 映画はこうしてつくられる
  • 著者:山田 宏一
  • 出版社:草思社
  • 装丁:単行本(564ページ)
  • 発売日:2019-09-02
  • ISBN:479422401X
内容紹介:
ラウル・クタール、アンナ・カリーナからゴダール、サミュエル・フラーまで、19人の映画人を著者が「映画作りの秘密」について、真剣に、ときに親密に、機微にわたって聞き、採録された最高に面白いインタビュー。これは稀有な記録である。最初は1965年のパリで、まだ『男と女』の世界的ヒットで… もっと読む
ラウル・クタール、アンナ・カリーナからゴダール、サミュエル・フラーまで、
19人の映画人を著者が「映画作りの秘密」について、真剣に、ときに親密に、機微にわたって聞き、採録された
最高に面白いインタビュー。これは稀有な記録である。

最初は1965年のパリで、まだ『男と女』の世界的ヒットで有名になる前のクロード・ルルーシュに
オープンリールの小型テープレコーダーで制作会社の片隅を借りて取材したところから始まる。
それから50年ぐらい、日本に来た監督や俳優など、折をとらえてインタビューした数は何十人になるだろうか。
これはインタビューの名手として定評のある著者のインタビュー傑作選であり、一つの総括である。

各種雑誌や新聞、パンフレットに発表されたものが多いが、そのほとんどが今回、保存しておいたテープを
聞き直して、加筆し、捨てられていた一部を復活し、完全版にしたという。
すべてのインタビューの共通のテーマは、「あの映画はどうやって作ったの?」ということであり、
「映画とは何か」の本質へ、率直にストレートに向かっている。

とくに面白いのはジャン・ルノワールから戦後のフランソワ。トリュフォー、ジャン゠リュック・ゴダールに至る
フランス映画の歴史、移り変わり、人脈的つながりなどがさまざまなエピソードを通じて浮かび上がるところであり、
映画を中心とした社会的背景がよく見えてくる。19人を並べると以下のような名前である。

クロード・ルルーシュ(監督)/マルセル・カルネ(監督)/アラン・レネ(監督)/ジャン゠リュック・ゴダール(監督)/バルべ・シュレデール(監督)/ジャン゠ポール・ベルモンド(俳優)/アレクサンドル・トロ―ネル(美術)/ピエール・ブロンベルジェ(プロデュ―サー)/ルイ・マル(監督)/クロード・ミレール(監督)/サミュエル・フラー(監督)/イヴ・ロベール(監督)/サム・レヴァン(スチールマン、写真家)/ルネ・リシティグ(編集、修復)/シャルル・アズナヴール(歌手、俳優)/マドレーヌ・モルゲンステルヌ(プロデューサー)/キム・ノヴァク(女優)/アンナ・カリーナ(女優)/ラウル・クタール(キャメラマン)。

これはインタビューと称しているが、取材からテープ起こしまで細心に手作りされた著者の映画評論そのものと言っていい。

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