書評

『大岡昇平の時代』(河出書房新社)

  • 2020/04/17
大岡昇平の時代 / 湯川豊
大岡昇平の時代
  • 著者:湯川豊
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(312ページ)
  • 発売日:2019-09-03
  • ISBN-10:4309028241
  • ISBN-13:978-4309028248
内容紹介:
昭和という時代を「文学」とともに生き、背負った作家・大岡昇平。文学の、そして文学者という存在の本質を現代に問う、決定作!

「昭和の作家」を冷静に語る

大岡昇平は「昭和の作家」だったと、著者は語る。戦後派という括り方には馴染めない、と。ただし、親交のあった大岡を冷静に語る筆致は見事だ。感情に流されていない。

『俘虜記』に始まり、『昭和末』で終わる構成もそうだが、オーソドックスな評伝のスタイルをとっている。作品に寄り添いながら、テキストだけではなく、大岡の人となりも浮かび上がるような書き方だ。

大作『レイテ戦記』で、大岡は軍人のエゴイズムを見透かしている。日本が「軍国主義への傾斜」によって味付けされていると批判する。生きていれば、大岡はおそらく今のこの時代に震えているに違いない。是非にも顧みられるべき作家。
大岡昇平の時代 / 湯川豊
大岡昇平の時代
  • 著者:湯川豊
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(312ページ)
  • 発売日:2019-09-03
  • ISBN-10:4309028241
  • ISBN-13:978-4309028248
内容紹介:
昭和という時代を「文学」とともに生き、背負った作家・大岡昇平。文学の、そして文学者という存在の本質を現代に問う、決定作!

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2019/09/12

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