書評

『タコの知性 その感覚と思考』(朝日新聞出版)

  • 2020/07/31
タコの知性 その感覚と思考 / 池田 譲
タコの知性 その感覚と思考
  • 著者:池田 譲
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:新書(264ページ)
  • 発売日:2020-04-13
  • ISBN-10:4022950668
  • ISBN-13:978-4022950666
内容紹介:
謎多き海の賢者タコの驚異の「かしこさ」に迫る!タコを追って沖縄へ――。琉球大教授である著者が熱帯の海における研究の結果得た、タコのコミュニケーション能力、感情・愛情表現、母性な… もっと読む
謎多き海の賢者タコの
驚異の「かしこさ」に迫る!

タコを追って沖縄へ――。
琉球大教授である著者が
熱帯の海における研究の結果得た、
タコのコミュニケーション能力、感情・愛情表現、母性などの
知られざる知性を解説する。
通説を覆す最新知見を提示しつつ、
生物の神秘や知性の奥深さを探る、知的興奮に満ちた書!

画家・ヒグチユウコ氏の描き下ろしイラストレーションと、
豊富な写真・図版を収録!

目次
【序章】 タコと人と日本と
【第一章】 タコのプロフィール
【第二章】 タコの賢さ
【第三章】 タコの感覚世界
【第四章】 タコの社会性
【第五章】 吾輩はタコである

好奇心と社会性を持ち孤独を愛する知性派

タコのキャラクターって、丸みを帯びていて可愛いものが多いが、時たま水揚げされるタコの映像を見ると、そもそもなんなんだこの存在と、「可愛い・可愛くない」なんて論点は消える。

タコについて考えたことがなかったが、どうやら特異な知性を持っているという。イカは集団で行動するが、タコは集団を作らない、という点だけでも「タコ派」に属したくなるが、とにかくタコは学習能力が高い。

白いボールをマダコに提示し、それをマダコが攻撃した後で餌を与える。これを繰り返すと白いボールを出すだけで攻撃するようになる。ボールのように海中に存在しないものでも、それに作用すれば餌がもらえると学習する。赤玉と白玉を並べ、赤を攻撃したら餌を与え、白を攻撃したら電気ショックを加える。案の定、赤を攻撃するようになるが、なんと、隣で観察していたタコまでそれを覚えるという。

外界への強い好奇心があり、これはタコが元来持っている特性ではないだろうか、と著者。道具を使ったり、ヒトにしか見られない特性である二足歩行をしたり、隣にいるタコを認識したり、とにかく社会性を持つ。

だが、「タコの生涯の大半の過程はよくわかっていない」という。ときおり見かけるタコの映像を見ると、あれだけの存在感で海に居座ってきたのならば相当長生きをしてきたのだろうと思わせるが、実は、タコの寿命は1年程度、長くても2年を少し超える程度なのだという。

タコには表情があるのではないか、との指摘も出てきている。研究が重ねられても、それでもちっとも全貌をつかませない様子にまで、知性を感じてしまう。漁獲量としては圧倒的にタコよりイカのほうが上。多くを語らず、独りで海にただようタコの存在感に惹かれてしまった。
タコの知性 その感覚と思考 / 池田 譲
タコの知性 その感覚と思考
  • 著者:池田 譲
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:新書(264ページ)
  • 発売日:2020-04-13
  • ISBN-10:4022950668
  • ISBN-13:978-4022950666
内容紹介:
謎多き海の賢者タコの驚異の「かしこさ」に迫る!タコを追って沖縄へ――。琉球大教授である著者が熱帯の海における研究の結果得た、タコのコミュニケーション能力、感情・愛情表現、母性な… もっと読む
謎多き海の賢者タコの
驚異の「かしこさ」に迫る!

タコを追って沖縄へ――。
琉球大教授である著者が
熱帯の海における研究の結果得た、
タコのコミュニケーション能力、感情・愛情表現、母性などの
知られざる知性を解説する。
通説を覆す最新知見を提示しつつ、
生物の神秘や知性の奥深さを探る、知的興奮に満ちた書!

画家・ヒグチユウコ氏の描き下ろしイラストレーションと、
豊富な写真・図版を収録!

目次
【序章】 タコと人と日本と
【第一章】 タコのプロフィール
【第二章】 タコの賢さ
【第三章】 タコの感覚世界
【第四章】 タコの社会性
【第五章】 吾輩はタコである

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初出メディア

サンデー毎日

サンデー毎日 2020年6月7日増大号

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