最近は日本の書店のお手本にもなるなど、台湾の書店は個性的で元気がいい。だが、その歴史はまさに波瀾万丈。
台湾の近代書店史である本書は、日本の植民地時代から始まる。1世紀前、台湾の書店の多くは、日本人による日本人のためのものだった。戦争に負けた日本が台湾から出て行き、台湾人による台湾人のための書店ができる。だが、共産党との内戦に敗れた国民党が台湾に撤退してくる。国民党の一党独裁のもと、厳しい言論統制の時代が続く。民主化されるのはわりと最近のことだ。
どんな時代にあっても、本を読みたいという人の衝動は抑えられない。それに応えようという人びとも次々と現れる。あるときは大陸から本を運び、あるときは洋書の海賊版をつくる。出版に事業拡大する書店もある。
21世紀に入ると、デジタルという強敵が現れる。新しい書店が次々と生まれては消えていく。新陳代謝が激しい。
売りたい本を売り、読みたい本を読む。それはいつも当たり前というわけではない。