書評

『家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊』(PHP研究所)

  • 2024/04/09
家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 / 磯田 道史
家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊
  • 著者:磯田 道史
  • 出版社:PHP研究所
  • 装丁:新書(240ページ)
  • 発売日:2023-10-27
  • ISBN-10:4569855415
  • ISBN-13:978-4569855417
内容紹介:
二百六十五年の平和――その体制を徳川家康がつくり上げることができたのは、波瀾万丈の人生と、天下人織田信長・豊臣秀吉の「失敗」より得た学びがあったからだった……。しかし盤石と思われたそ… もっと読む
二百六十五年の平和――その体制を徳川家康がつくり上げることができたのは、波瀾万丈の人生と、天下人織田信長・豊臣秀吉の「失敗」より得た学びがあったからだった……。しかし盤石と思われたその体制は、彼の後継者たちによって徐々に崩され、幕末、ついに崩壊する。“神君”家康にとっての「誤算」を、近世から近代まで俯瞰して読み解くと共に、彼がこの国に与えた影響に迫る!

目次
●第一章 家康はなぜ、幕藩体制を創ることができたのか
●第二章 江戸時代、誰が「神君の仕組み」を崩したのか
●第三章 幕末、「神君の仕組み」はかくして崩壊した
●第四章 「神君の仕組み」を破壊した人々が創った近代日本とは
●第五章 家康から考える「日本人というもの」
意外なことに、江戸の徳川政権はローマ帝国に似たところがある。パクス・ロマーナ(ローマの平和)になぞらえてパクス・トクガワーナとよばれることがある。そもそもカエサルらの強者にもまれてアウグストゥス帝が歴史の舞台に登場したように、信長、秀吉らの強者に鍛えられて家康が出てきた。

戦乱なき世を願って天下人になった家康は神君として「平和の仕掛け」を作った。しかし、時を経るにつれて、想定外の問題が出てきて、幕府を苦しめることになる。二六〇年以上もの長期政権だったにもかかわらず、なぜ徳川幕府は崩壊したのか、まさに「家康の誤算」になるのだ。

制度や政策の変更なら、二代将軍すら行っている。参勤交代の制度は、大名にとって負担であるから不満があった。一八五三年にペリーの黒船来航があり、幕府は開国の決断を迫られた。老中の阿部正弘は「人材登用」と「言路洞開(げんろとうかい)」を断行する。誰もが政治について意見を言っていいというのが、パンドラの箱を開けてしまったという。幕府は人材豊富であったにもかかわらず、もはや「神君の仕組み」の崩壊を止められなかったのだ。
家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 / 磯田 道史
家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊
  • 著者:磯田 道史
  • 出版社:PHP研究所
  • 装丁:新書(240ページ)
  • 発売日:2023-10-27
  • ISBN-10:4569855415
  • ISBN-13:978-4569855417
内容紹介:
二百六十五年の平和――その体制を徳川家康がつくり上げることができたのは、波瀾万丈の人生と、天下人織田信長・豊臣秀吉の「失敗」より得た学びがあったからだった……。しかし盤石と思われたそ… もっと読む
二百六十五年の平和――その体制を徳川家康がつくり上げることができたのは、波瀾万丈の人生と、天下人織田信長・豊臣秀吉の「失敗」より得た学びがあったからだった……。しかし盤石と思われたその体制は、彼の後継者たちによって徐々に崩され、幕末、ついに崩壊する。“神君”家康にとっての「誤算」を、近世から近代まで俯瞰して読み解くと共に、彼がこの国に与えた影響に迫る!

目次
●第一章 家康はなぜ、幕藩体制を創ることができたのか
●第二章 江戸時代、誰が「神君の仕組み」を崩したのか
●第三章 幕末、「神君の仕組み」はかくして崩壊した
●第四章 「神君の仕組み」を破壊した人々が創った近代日本とは
●第五章 家康から考える「日本人というもの」

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2024年1月6日

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