書評

『空港時光』(河出書房新社)

  • 2024/05/23
空港時光 / 温 又柔
空港時光
  • 著者:温 又柔
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(176ページ)
  • 発売日:2018-06-25
  • ISBN-10:4309026958
  • ISBN-13:978-4309026954
内容紹介:
羽田⇔台北――空港を舞台に鮮やかに浮かびあがる10の人生、そして新しい生のかたち。いま最も注目される気鋭作家の飛翔作。
出発 日本人のようなもの あの子は特別 異境の台湾人 親孝行 可能性 息子 鳳梨酥 百点満点 到着 音の彼方へ

母語と国語の間で悩む人々

十の物語が詰まっている。ごく短い小説には、それぞれの主人公がいて、みな一様に空港で過ごし、そこから記憶が立ちあがる。

たいていの登場人物は、著者の個人的な経験を反映させたものと思われる。台湾に生まれた者。日本語を話し、書くけれども、「中華民国」の旅行券を持つ者。成長するプロセスで「中国語」という言語を身につけてきた経験を持つ者。温又柔(おんゆうじゅう)の真骨頂だ。

人物たちは、母語と国語の間に悩んだり、打ちのめされたりする。ただ、台湾と日本への「入境」と「上陸」を繰り返す彼らにとって、空港という場所はとても似つかわしく、不思議な魅力に満ちたところとして描かれている。



空港時光 / 温 又柔
空港時光
  • 著者:温 又柔
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(176ページ)
  • 発売日:2018-06-25
  • ISBN-10:4309026958
  • ISBN-13:978-4309026954
内容紹介:
羽田⇔台北――空港を舞台に鮮やかに浮かびあがる10の人生、そして新しい生のかたち。いま最も注目される気鋭作家の飛翔作。
出発 日本人のようなもの あの子は特別 異境の台湾人 親孝行 可能性 息子 鳳梨酥 百点満点 到着 音の彼方へ

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2018年7月12日

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
陣野 俊史の書評/解説/選評
ページトップへ