書評
『逝ってしまった君へ』(小学館)
あさのますみ著『逝ってしまった君へ』(小学館・1650円)は、自殺した友人への長い手紙である。著者は作家でエッセイストだが、声優・浅野真澄としてのキャリアのほうが長い。
2019年の1月、突然の訃報が届く。亡くなったのは元恋人で、別れた後も大切な友人だった「君」。自殺だったとわかったときの衝撃、著者に宛てた遺書のこと、葬儀のこと、自殺現場となった友人の部屋での遺品整理のことなどが細かく書かれている。
大切な人が死んだ後に何が起きるのか。その一部始終を、著者は死んだ当人に向けて報告する。「君」が逝ってしまって残された者はどうしたのかを。著者はありのままの「君」を知り、書き留めていく。ともすれば勝手な解釈や想像をしてしまいそうな自分を制しながら。
死は誰にもやってくるものだけど、その原因が病気であれ事故であれ、周囲の者には悔いが残る。「あれをしてあげればよかった」「あのとき引き留めておけば事故に遭わなかったのに」などと。まして自殺となれば、助けられなかった罪悪感に苦しむ。
「君」はひどいうつに悩まされていた。遺書やスマートフォンのメモ、検索履歴からもよくわかる。友人の一人は、「君」に気功の先生を紹介したことを悔やんでいる。その先生は「君」に「抗うつ剤なんて飲むな」と助言していた。適切に服薬しなかったことが自死の引き金になったのだとしたら……と友人は泣く。
「君」は死んだ。だが、最期まで生きようと懸命だったことが、遺書やメモ、日記、音声データからわかってくる。食事の準備の途中で「君」は死んだ。おそらくは発作的な行動だった。
この瞬間も、死にたいと思っている人がいるだろう。もしかするとこの欄を読んでいるかもしれない。辛く、苦しく、1秒でも早く楽になりたいと思いながら。だが、そんなあなたのことを気にかけている人がいる。とりあえず死ぬのは少し先延ばしにして、この本を読んでみてはいかがだろう。
2019年の1月、突然の訃報が届く。亡くなったのは元恋人で、別れた後も大切な友人だった「君」。自殺だったとわかったときの衝撃、著者に宛てた遺書のこと、葬儀のこと、自殺現場となった友人の部屋での遺品整理のことなどが細かく書かれている。
大切な人が死んだ後に何が起きるのか。その一部始終を、著者は死んだ当人に向けて報告する。「君」が逝ってしまって残された者はどうしたのかを。著者はありのままの「君」を知り、書き留めていく。ともすれば勝手な解釈や想像をしてしまいそうな自分を制しながら。
死は誰にもやってくるものだけど、その原因が病気であれ事故であれ、周囲の者には悔いが残る。「あれをしてあげればよかった」「あのとき引き留めておけば事故に遭わなかったのに」などと。まして自殺となれば、助けられなかった罪悪感に苦しむ。
「君」はひどいうつに悩まされていた。遺書やスマートフォンのメモ、検索履歴からもよくわかる。友人の一人は、「君」に気功の先生を紹介したことを悔やんでいる。その先生は「君」に「抗うつ剤なんて飲むな」と助言していた。適切に服薬しなかったことが自死の引き金になったのだとしたら……と友人は泣く。
「君」は死んだ。だが、最期まで生きようと懸命だったことが、遺書やメモ、日記、音声データからわかってくる。食事の準備の途中で「君」は死んだ。おそらくは発作的な行動だった。
この瞬間も、死にたいと思っている人がいるだろう。もしかするとこの欄を読んでいるかもしれない。辛く、苦しく、1秒でも早く楽になりたいと思いながら。だが、そんなあなたのことを気にかけている人がいる。とりあえず死ぬのは少し先延ばしにして、この本を読んでみてはいかがだろう。