書評

『日の出』(集英社)

  • 2024/10/04
日の出 / 佐川 光晴
日の出
  • 著者:佐川 光晴
  • 出版社:集英社
  • 装丁:文庫(320ページ)
  • 発売日:2024-09-20
  • ISBN-10:4087446964
  • ISBN-13:978-4087446968
内容紹介:
明治の終わり、13歳の清作は、徴兵から逃れ故郷を飛びだす。
北陸から九州、そして横浜へと逃れながらも、
鍛冶職人として生きる清作を、数々の試練が襲いつづける。
一方、清作を曾祖父にもつ現代の女子大生・あさひは、
教職免許のために猛勉強中だった……。
時代をへだてたふたりの希望の光が、小さく輝きはじめる。
若い世代に読んでほしい感動長編!

近代史に輝く家族の物語

主人公の一人、馬橋清作(うまはしせいさく)は1894年生まれ。父親を日露戦争で亡くしたことで戦争を憎むようになり、徴兵忌避をする道を選ぶ。鍛冶となった清作は、日本中を転々として、技術を磨く。不安に身を焦がすような暮らしの中、一方で、生活の実感を手にする。

もう一人の主人公は、清作のひ孫で中学の社会科教師、あさひ。時代も考え方も異なる2人の家族に、どんな共通点があるのか、ここは読んでのお楽しみというところだが、たった一つのファミリー・ストーリーが、近代史という枠組みの中で輝きを放つ瞬間を、佐川は独特の衒(てら)いのない文章で描きだしている。なんと生き生きとした人物たちだろう! 続きをぜひ。
日の出 / 佐川 光晴
日の出
  • 著者:佐川 光晴
  • 出版社:集英社
  • 装丁:文庫(320ページ)
  • 発売日:2024-09-20
  • ISBN-10:4087446964
  • ISBN-13:978-4087446968
内容紹介:
明治の終わり、13歳の清作は、徴兵から逃れ故郷を飛びだす。
北陸から九州、そして横浜へと逃れながらも、
鍛冶職人として生きる清作を、数々の試練が襲いつづける。
一方、清作を曾祖父にもつ現代の女子大生・あさひは、
教職免許のために猛勉強中だった……。
時代をへだてたふたりの希望の光が、小さく輝きはじめる。
若い世代に読んでほしい感動長編!

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2018年5月31日

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